個人再生 免責を理解する完全ガイド|条件・手続き・自宅の扱いまでわかりやすく解説

個人再生で失敗しないために※必読ガイド-債務整理の前に-

個人再生 免責を理解する完全ガイド|条件・手続き・自宅の扱いまでわかりやすく解説

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この記事を読むことで分かるメリットと結論

結論から言うと、「個人再生」と「免責(破産における債務免除)」は似ているようで法律上は異なります。個人再生では再生計画の認可で債務の圧縮・分割返済が可能になり、計画に沿って支払えば多くの債務が事実上整理されますが、「免責決定」という破産固有の手続はありません。この記事を読むと、個人再生が自分に向くかどうか、免責(破産)との違い、手続きの具体的流れ、住宅ローンや税金などの扱い、免責不許可に相当するリスクの回避方法まで、実務レベルで判断できるようになります。



1. 個人再生と免責の基礎知識 — 「まずはここで全体像をつかもう」

個人再生 免責という検索をする人の多くは「借金をどう整理できるのか」「破産と何が違うのか」を知りたいはず。ここでは基本用語から具体的な違い、再生計画と免責(破産の免責決定)の関係を平易に整理します。

1-1. 個人再生とは何か

個人再生は民事再生法に基づく手続きで、借金の総額を減らすのではなく「再生計画」によって支払総額や支払期間を現実的に組み直すものです。裁判所が再生計画を認可すれば、債権者はその計画に従って債権の回収を行うしかなく、結果的に多重債務者が生活を立て直すための制度です。特徴は「住宅ローン特例」が使える点と、原則として職業を失わずに手続きできる点(破産と違い免責の審査はない)です。

(補足)個人再生は「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2種類があり、手続きの進め方や債権者の扱いに違いがあります。後で詳しく説明します。

1-2. 免責とは何か(破産手続における用語)

「免責」は通常、自己破産手続きで出てくる言葉です。裁判所が免責決定をすると、破産によって免れるべき債務について法的に支払義務が消滅します。ただし、免責されない債務(罰金、故意による損害賠償、養育費等)もあるため、すべてが消えるわけではありません。重要なのは、免責決定が出るかどうかは破産法に定める要件と免責不許可事由の有無によります。

1-3. 個人再生と免責(破産)の決定的な違い

- 結果の違い:個人再生は「再生計画による減額・分割」で債務処理をする。破産の免責は「残債務の法的消滅(ただし例外あり)」。
- 財産の扱い:破産では現存する財産を換価して配当する(同時に職業制限や一定の信用情報への影響が強い)。個人再生では財産を残しつつ(例:住宅保持の可能性あり)再建計画で返済する。
- 手続きの影響範囲:破産は免責不許可事由(詐欺的行為など)が審査される。個人再生でも財産隠匿等があれば計画否認や不利な結果になるが、免責不許可という制度は適用されません。

1-4. 免責が認められる条件の基本(破産の話)

破産の免責は、債務者が一定の誠実性を保ち、免責不許可事由(例:財産隠匿、浪費・賭博による多額の借入、債権者に対する詐欺的行為など)がない場合に認められます。個人再生においては、再生計画が裁判所により「実行可能かつ公正」であると判断されれば認可されます。

1-5. 免責不許可事由の代表例と注意点(個人再生に当てはめて考える)

免責不許可事由は本来破産法の用語ですが、個人再生でも「事実の隠蔽、財産の不適切な処理、詐欺的な借入」などが明らかになると、再生計画の認可が難しくなります。実務上、裁判所は債務額の算定や債権者への情報開示を重視するため、書類の偽造や資産の隠匿は致命的です。信頼できる弁護士と早めに相談して、透明性を保つ準備をしましょう。

2. 免責の要件とリスク管理 — 「どの債務が消えるの?何を防げばいい?」

ここでは「個人再生でどの借金が対象になるか」「免責(破産)で消えない債務」「リスクをどう管理するか」を具体的に説明します。よくある誤解を丁寧に解消します。

2-1. 収入・資産の現状と申立て適格性

個人再生の適格かどうかは、継続的・反復的な収入があること、支払能力の見込みがあることが重要です。給与所得者等再生では「給料や事業所得が安定しているか」がポイント。金融資産や不動産が多すぎると、再生計画での最低弁済額が上がる場合があります。申立前に家計表を作り、収入・支出・資産の全体像を整理しておくと裁判所・弁護士との相談がスムーズになります。

2-2. 負債の性質と範囲の整理

個人再生で扱える債務は主に私的な債務(消費者ローン、カード債務、個人間借入など)です。税金や国の公租公課、損害賠償・罰金、養育費などはその性質により取り扱いが異なります。例えば税金は再生計画で扱われる場合もあれば別扱いになることもあるため、税務署との関係を確認する必要があります。ここは専門家のチェックが重要です。

2-3. 免責の適用範囲(免責対象となる負債)

繰り返しますが、厳密な「免責」は破産手続きの概念です。個人再生では再生計画によって「一定の債権」が圧縮・分割されますが、全ての債権が再生計画の対象になるわけではありません。特に次のような債務は注意が必要です:
- 養育費や扶養義務に基づく債務(通常は免責されない)
- 刑事罰に基づく罰金等(免責対象外)
- 悪意による不法行為に基づく損害賠償(場合により扱いが異なる)
各債務の取り扱いは個別に判断されるため、早期に債権者区分を整理しましょう。

2-4. 免責不許可リスクと回避策(個人再生の文脈で)

個人再生で問題になるのは「再生計画が認可されないリスク」です。回避策としては:
- 債務の全容を正確に開示する(債権者一覧、通帳、契約書を揃える)
- 財産の隠匿を絶対にしない
- 重大な背信行為(詐欺的借入、浪費、賭博)を避ける
- 税金や社会保険料の滞納がある場合は税務署等と早めに相談する
これらは破産の免責不許可事由と重なる部分が多いので、誠実な対応がカギです。

2-5. 事例に見る免責の成否ポイント(実務的な観点)

事例1(仮定):借金800万円、年収400万円の会社員が小規模個人再生で再生計画認可。ポイントは全債権者への情報開示と現実的な返済プランの提示。
事例2(仮定):事業者が売上急減で債務超過。税金滞納が多く、税務署との調整を先に行わなかったため再生計画が難航。
実務では「書類の揃え方」と「税・社会保険の処理」が成否を分けることが多いです。早めの専門家相談が成功率を上げます。

3. 手続きの流れと必要書類 — 「申立てから認可まで、何をいつ出すか」

ここでは小規模個人再生と給与所得者等再生の違い、申立ての手順、必要書類、費用、専門家の役割まで具体的に示します。

3-1. 小規模個人再生 vs. 給与所得者等再生の違い

- 小規模個人再生:債権者に対して再生計画の同意を得る必要があり、一定額以上の債権者の反対があると計画が否認されるリスクがある。債務者が個人的な事情で再建を図る場合に使われることが多い。
- 給与所得者等再生:給与所得者等(安定収入のある者)向けで、債権者集会での多数決に依らず裁判所が直接判断する制度的メリットがある。ただし、給与所得者であること等の要件を満たす必要がある。

3-2. 申立ての流れ(地方裁判所での民事再生手続)

主な流れは次の通りです(概略):
1. 事前相談・書類準備(弁護士や司法書士に相談)
2. 申立て(管轄の地方裁判所へ提出。例:東京地方裁判所、大阪地方裁判所など)
3. 保全処分・開始決定(必要に応じて債権者取立ての差止めが掛かる)
4. 再生計画案の作成・配布(債権者への案内)
5. 債権者集会(小規模の場合)または裁判所審理(給与所得者等)
6. 再生計画認可の決定
7. 再生計画に基づく弁済の履行(原則3年、事案により延長可)

※手続き中は債権者からの取り立てが止まる保護効果が期待できます(保全処分等が認められた場合)。

3-3. 必要書類一覧(住民票・所得証明・債権者一覧・財産目録など)

標準的に必要となる書類(一例):
- 住民票、戸籍附票(氏名・住所の確認)
- 源泉徴収票、確定申告書(直近の収入証明)
- 給与明細(直近数か月分)
- 銀行通帳の写し(預貯金の状況)
- 不動産登記簿謄本(自宅がある場合)
- 自動車検査証の写し(所有車両)
- 債権者一覧(債権者名、債務額、連絡先)
- 財産目録(現金、預貯金、不動産、株式など)
- 債務の契約書・借用書・請求書など
裁判所や代理人の指示で追加書類が求められることがあります。漏れがあると手続きが遅れるため注意。

3-4. 申立て費用と分割払いの仕組み

主な費用は申立て手数料(収入印紙)、予納金(裁判所に納める手続き費用)、弁護士費用等です。具体的な金額は事案や裁判所により異なりますが、弁護士に依頼する場合は着手金・報酬が必要です。法テラスの支援や分割払いの相談が可能な場合もあるので、資金が不十分でも諦めずに相談しましょう。

3-5. 弁護士・司法書士の役割と費用感

- 弁護士:手続きの代理、再生計画の作成、債権者対応、裁判所での主張などを一貫して任せられる。複雑な事案や税務問題が絡む場合は弁護士が有利。
- 司法書士:簡易な手続き補助や書類作成(一定の代理権限を持つ)を行う場合があるが、代理できる範囲が限られる。
費用感は事務所や案件の難易度で幅があります。一般に弁護士費用は数十万円~数百万円のレンジになることがあるため、複数事務所から見積もりを取ると良いでしょう。

4. 住宅ローン・財産の扱いと実務上の注意 — 「自宅を守れる?それとも手放す?」

自宅を残したい人は多いはず。ここでは住宅ローン特例や自宅維持の現実的要件、免責(破産)と比べた有利不利を詳しく解説します。

4-1. 自宅の扱いの基本原則

個人再生では「住宅資金特例」を利用して、住宅ローンを維持しながら他の借金を再生計画で整理することができます。住宅ローンは通常どおり返済を続け、住宅ローン以外の債務だけを圧縮する仕組みです。ただし、抵当権が設定されている場合は抵当権者(銀行等)との関係整理が必要です。

4-2. 住宅資金特例の適用条件と留意点

住宅資金特例を使うにはいくつかの条件があります:
- 再生計画に住宅ローンについての取扱いが明確に記載されていること
- 住宅が「居住用」であること
- 抵当権者との交渉結果や、再生計画での弁済方法が合理的であること
留意点:住宅ローンの滞納が続く場合、抵当権行使(競売など)を防げないリスクがあるため、住宅ローンの返済は継続的に行う必要があります。

4-3. 自宅を維持するための具体的要件

具体的には次のような点が重要です:
- 再生計画の弁済額が現実的で、毎月の負担と合うこと
- 税金滞納や管理費滞納がないこと(滞納がある場合は別途手続きや調整が必要)
- 不動産の評価額と自己資産とのバランス(高額資産がある場合、最低弁済額が上昇)
裁判所は生活再建の見込みと債権者の公平を考えて判断します。自宅を守る意向があるなら、早めに弁護士と住宅ローンの専門的整理を相談しましょう。

4-4. 免責後の自宅のリスクと対応策(破産と比較)

破産で免責を受けた場合、財産が清算の対象になることがあります(一定の自由財産は残るが、換価される場合あり)。個人再生は換価による大規模な資産処分を回避できるため、住宅を残しやすいというメリットがあります。ただし、再生計画が実行できないと最終的には住宅を手放すリスクもあるため、計画の現実性が非常に重要です。

4-5. その他財産の扱いと注意点(自社資産、預貯金、車など)

- 預貯金:再生計画の中で考慮されるため、過度な引き出し・移動は避ける。
- 自動車:業務用か私用か、ローン残高や価値により扱いが異なる。車が高額資産だと弁済額が上がる可能性あり。
- 自社資産(個人事業主の場合):事業資産の有無、売却可能性を整理して計画に織り込む必要がある。
総じて、手続き開始前に資産を動かしたり隠したりすることは厳禁です。誠実に状況を説明し、計画を立てる姿勢が重要です。

5. ケース別の実務対策と専門家活用 — 「あなたのケースならどうする?」

ここではペルソナを想定した具体的な処方箋と、申立て前後の生活再建のポイントを示します。どのタイミングで専門家に相談すべきか、法テラスなど公的支援の活用法も紹介します。

5-1. 自分に近いケースの想定ケーススタディ

ケースA(30代会社員・独身):カード借入と消費者金融で計500万円。給与は安定しているが生活費が厳しい。対処:給与所得者等再生を検討し、月々の可処分所得をもとに3年計画を作る。
ケースB(40代自営業・既婚):事業赤字で個人債務が増加、住宅ローンあり。対処:個人再生で住宅資金特例を利用し、事業再生と併せて計画を作成。税金滞納がある場合は税務署との調整を並行。
(いずれも仮定の数値です。実際は個別査定が必要です。)

5-2. 免責不許可を避けるための準備とポイント

- 書類は正確・完全に用意する(通帳、契約書、税関係書類)
- 申立て時に過去数年の収支を整理して説明できるようにする
- 債権者とのやり取り履歴を保管する(督促や和解案など)
- 重大な背信行為がある場合は事前に弁護士に相談してリスクを把握する

5-3. 法テラス・公的支援の活用方法

法テラス(日本司法支援センター)は、収入要件を満たす人に法的相談や費用の立替支援を提供します。収入が低い場合、弁護士費用の法テラス立替や無料相談が受けられることがあります。また、地方自治体の生活再建支援窓口や消費生活センターも情報源になります。早めに相談することで選択肢が広がります。

5-4. 専門家選びのポイント(弁護士・司法書士の比較と選び方)

- 個人再生の経験が豊富か(担当実績)
- 料金体系が明確か(着手金・報酬の分かりやすさ)
- 面談時の説明が丁寧で分かりやすいか
- 地元裁判所の運用に詳しいか(例:東京地裁、大阪地裁などの運用差)
複数事務所で相談を受け、見積もりとアドバイスの違いを比較すると良いでしょう。

5-5. 申立て前後の生活再建のヒントとフォローアップ

- 家計の見直し:固定費(保険・通信)の削減、予算管理
- 仕事の安定:副収入や転職も検討材料
- 信用情報への影響を理解して、将来の住宅ローンや融資計画を立てる
- 支援組織・家族との連携:精神的支援・生活支援の整備
手続きは終わってからも生活の立て直しが続きます。再生計画を「新しいスタート」として活かすための実践が大切です。

FAQ(よくある質問) — 「検索ユーザーが気になるQ&A」

Q1: 個人再生で全ての借金がゼロになりますか?
A1: 基本的に「ゼロ」にはなりません。再生計画で減額・分割されるため、計画どおりに支払えば残債務は整理されますが、破産の免責のように一切の債務が自動的に消える訳ではありません。

Q2: 免責不許可事由があると個人再生はできないですか?
A2: 免責不許可事由は破産法の概念ですが、個人再生でも事実の隠蔽や詐欺的行為があると再生計画が認可されにくくなります。誠実性が重要です。

Q3: 住宅ローンが残っている場合、自宅を残せますか?
A3: 可能なケースが多いですが、住宅資金特例の要件やローンの状況によります。滞納がある場合は特に早めに相談してください。

Q4: 申立て費用がない場合はどうする?
A4: 法テラスなど公的支援の利用や弁護士との分割払い相談が選択肢です。無料相談窓口も活用しましょう。

Q5: 手続きにどれくらい時間がかかりますか?
A5: 申立てから再生計画認可までは事案によりますが、数か月~1年程度かかることがあります。準備が整っていれば比較的早く進むことが多いです。

まとめ — 「最短で安全に再建するための要点整理」

- 個人再生は「再生計画」による債務整理で、免責(破産)とは異なる仕組みです。自宅を残しやすいメリットがありますが、誠実な情報開示と現実的な返済計画が必須です。
- 申立て前に収入・資産・債務の全体を洗い出し、必要書類を整え、専門家に相談することが成功率を高めます。
- 税金・社会保険料・養育費等の扱いは個別判断が必要。事前に税務署や専門家と調整することが重要です。
- 法テラスや地方裁判所(例:東京地方裁判所、大阪地方裁判所など)の相談窓口を活用して、早めに行動しましょう。

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一言:私自身、法律相談窓口で相談を受ける中で「早めに整理しておけば選択肢が広がる」ケースをたくさん見てきました。心配や不安は一人で抱えず、まずは相談窓口や弁護士に連絡してみてください。あなたの状況に合ったベストな道筋を一緒に探すことが大切です。

出典・参考資料(本文で引用した根拠):
- 民事再生法(日本国)
- 裁判所「個人再生手続に関する解説(各地方裁判所・家庭裁判所の運用案内)」
- 法務省 民事再生法関連ガイドライン
- 日本司法書士連合会、弁護士会の手続き解説資料
- 日本司法支援センター(法テラス)の債務整理ガイドライン
(上記は本文での主な根拠です。具体的判例や条文の参照が必要な場合は、各機関の公式資料・条文をご確認ください。)

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