個人再生と配偶者の収入|審査への影響・手続きの実務ガイドとケース別対策

個人再生で失敗しないために※必読ガイド-債務整理の前に-

個人再生と配偶者の収入|審査への影響・手続きの実務ガイドとケース別対策

債務整理弁護士事務所写真

この記事を読むことで分かるメリットと結論

結論:配偶者の収入は、原則として申立人(借金をする本人)の「収入」には直接合算されません。ただし、裁判所が「家計の実態」や再生計画の履行可能性を判断する際には配偶者の所得や貯蓄が重要な参考資料になります。つまり「配偶者の収入があるから再生が簡単になる/ならない」と単純には言えません。ケースに応じて配偶者の収入が生活費算定、清算価値の確定、再生計画の現実性評価に影響します。本記事では実務的な手続きの流れ、必要書類、共働き・自営業・離婚リスクなどペルソナ別の対処法、専門家の選び方まで網羅的にまとめます。読むと、何を準備すべきか・どこで相談すべきかが明確になります。



1. 配偶者の収入と個人再生の基本 — まずは仕組みを押さえよう

1-1. 個人再生とは?概要と適用範囲(やさしく)

個人再生は、民事再生法に基づく債務整理の一つで、裁判所を通じて借金を大幅に減額(原則5分の1~10分の1になることが多い)し、残債を3~5年程度で分割返済する手続きです。住宅ローン特則を使えばマイホームを手放さずに再生できる可能性があります。破産と違い「原則として免責」ではなく、計画的に支払う意思と能力が必要です。
- 適用対象:主に給与所得者や個人事業主など、一定の継続収入がある人向け。
- ポイント:再生計画の現実性(支払能力)を裁判所が重視します。

1-2. 配偶者の収入が総収入に与える影響の考え方(重要ポイント)

重要なのは「配偶者の収入=申立人の収入」ではない、という点です。裁判所は以下の観点で配偶者の収入をチェックします。
- 生活費の算定:家族の人数や生活水準に基づく標準的生活費を決める際、配偶者の収入で家計を賄っているかを確認します。配偶者収入が高ければ申立人に要求される手取り(実質的に回収可能な余力)は下がる可能性があります。
- 再生計画の履行可能性:配偶者の収入や貯蓄が、計画を確実に実行できるかの裏付けになります。例えば申立人の収入だけでは返済が厳しいが、配偶者の協力で家計を支えられると認められる場合は計画が認められやすくなります。
- 清算価値(最低弁済額)の算定:破産した場合に債権者がどれだけ回収できるかを算出する「清算価値」に、夫婦共有の資産(共同名義の貯金、不動産)や配偶者の保有資産が影響する場合があります。

つまり裁判所が「家計実態」を把握するために配偶者の情報を参照する、というイメージです。

1-3. 再生計画案作成時における所得の扱い(技術的)

再生計画案で重要になるのは「申立人の可処分所得(生活費を引いた後の支払余力)」です。一般に以下が考慮されます。
- 申立人本人の給与明細、源泉徴収票、確定申告書(自営業の場合)が基本資料。
- 配偶者の収入は「家計収入」として参考資料になるが、申立人名義の所得として計上するわけではありません。ただし、家計の収支表や預金通帳などから配偶者の出納が明らかであれば、実際の生活費配分が反映されることがあります。
- 配偶者が申立人に家計費として毎月一定額を渡している場合は、その金額が「家計収入」として扱われ、申立人の支払能力評価に影響します。

1-4. 配偶者の所得を「申告すべきか・しないべきか」の判断基準

基本は「隠さない」こと。裁判所・手続きを担当する監督委員や弁護士は家計全体を見て判断します。配偶者の所得を故意に隠すと後で不利になる可能性があります。判断目安:
- 同居し家計を共有しているなら、配偶者の収入や預金の状況は申告すべき。
- 別居中で配偶者と家計が別なら、申告の範囲は限定的になることが多い。ただし給与振込先や共有資産があれば説明が必要。
- 共同名義の財産(住宅ローンの連帯債務など)は必ず開示。

私見:正直に出すことで手続きがスムーズになり、裁判所に信頼されます。後から資料不足で追加説明を求められるより、初めから整理して出す方が時間も費用も節約になります。

1-5. 夫婦共働きケースでの留意点(家計の透明性が鍵)

共働きだと「誰の収入で何を賄っているか」を示す書類(通帳、家計簿、生活費の移動履歴)が重要です。裁判所は「申立人単独で支払えるか」を重視しますが、配偶者の協力が計画遂行の確実性を高める場合、プラスに評価されます。注意点:
- 収入合算を申立人の所得として無理に見せないこと(虚偽は絶対ダメ)。
- 共有資産・預金の有無、ローンの名義(連帯債務かどうか)を明確にする。
- 家計の根本的な見直し案(支出削減・収入確保)を計画書で示す。

1-6. 生活費・資産の見直し方(実務で使える具体例)

実際に私が関与した事例では、家計簿の月別比較・過去12か月の通帳写しを提出し、生活費の合理化案(外食削減、不要サブスク解約、保険見直し)を明示することで、裁判所と監督委員の理解を得られました。具体策:
- 家計簿テンプレ:収入(夫、妻別)→固定費→変動費→貯蓄→借金返済。
- 一時的に配偶者から生活援助を受ける場合は「援助の事実」「金額」「期間」を示す書面(振込履歴)を用意。
- 共同名義の預金は名義ごとの出入金を証明する。

1-7. よくある不安の整理(離婚リスク・信用情報など)

- 離婚したら再生計画はどうなる?:離婚は家計状況を大きく変えます。離婚後の生活費低下や財産分与の影響を再生計画に反映させる必要があります。離婚を予定するなら申立時にそのリスクを説明することが重要です。
- 信用情報(ブラックリスト):個人再生後も一定期間は信用情報に登録され、クレジットの利用やローンが制限されます(期間は情報機関や契約により異なります)。
- 私見:配偶者の収入があっても、家計全体のバランスと将来のリスク(失業、病気、離婚)を見据えた計画が最も説得力があります。

2. 手続きの流れと提出書類 — これだけは揃えて動こう

2-1. 申立ての全体像(誰が、いつ、どの順で動くか)

個人再生手続きの基本ステップは以下です。
1. 相談(弁護士、司法書士、法テラス):状況整理・必要書類の確認
2. 申立準備:債務一覧、収入証明、資産資料、家計簿、再生計画(案)などの作成
3. 裁判所へ申立て:申立書類提出と同時に手続開始
4. 監督委員の選任(場合による)・債権者集会(必要時)
5. 再生計画の認可(裁判所決定)
6. 再生計画の履行(分割返済開始)
申立て~認可までは数ヶ月かかることが一般的で、案件の複雑さで変動します。

2-2. 配偶者の収入証明の取り方と提出タイミング

必要になったときに速やかに出せるよう、以下を準備しておくと安心です。
- 給与所得者:直近数か月分の給与明細、直近の源泉徴収票
- 自営業の配偶者:直近2~3年分の確定申告書(控)、青色・白色の区分が分かる書類
- 振込履歴:配偶者が家計に送金している場合は、振込の通帳コピーまたは振込明細
- 会社の証明書:必要に応じて勤務先発行の在職証明書や給与証明
提出タイミング:申立準備段階~申立時に求められることが多いので、申立前に整理して弁護士と共有しておくとスムーズです。

2-3. 必要書類リスト(収入・資産・債務・家計の証拠など)

主な書類(申立人+配偶者に関するもの):
- 申立書・陳述書(弁護士作成が一般的)
- 借金明細(契約書、残高証明、明細書)
- 給与明細(直近3~6か月)、源泉徴収票、確定申告書(自営業なら直近2~3年)
- 住民票(世帯全員)、戸籍謄本(家族構成確認)
- 預金通帳(過去12か月程度)、投資・保険の解約返戻金証明
- 住宅ローンの契約書、固定資産税の領収書(不動産がある場合)
- 家計の明細(家計簿、光熱費・携帯代の履歴)
- 配偶者の収入証明(上記に準ずる)
- その他:賃貸契約書、車の登録証、年金証書など

2-4. 審査期間の目安と進行管理のコツ

- 目安:申立てから再生計画認可までは通常3~6か月が多いが、監督委員の有無や債権者の反対、書類不備により6か月~1年になることもあります。
- 進行管理のコツ:
- 書類はまとめてデジタルと紙で保管。通帳はコピーだけでなく原本も提示されることがあるので保管場所を確保。
- 弁護士とは週1回の連絡を習慣化。提出期限をカレンダーで共有。
- 裁判所から追加照会が来ることがあるので、すぐ応答できる体制を作る。

2-5. 法テラスの活用と無料相談の受け方(公的支援の具体)

法テラス(日本司法支援センター)は初回相談の無料化や収入要件を満たす場合の費用立替など制度があり、資金的に不安がある人に有効です。実務的には:
- まず法テラスの窓口あるいはウェブで相談予約。
- 収入・資産の基準で「無料相談」「援助」が受けられるか確認。
- 法テラス経由で弁護士紹介を受けることも可能(ただし弁護士費用は個別案件で異なる)。
私見:費用面で最初に法テラスを検討するのは賢明。私の経験でも、法テラスの相談を入り口にして弁護士にスムーズに繋がるケースが多いです。

2-6. 専門家の役割:弁護士 vs. 司法書士の選び方と費用感

- 弁護士:複雑案件(高額債務、住宅ローン特則、配偶者との共同債務、離婚が絡むケース)は弁護士推薦。裁判所対応・交渉含め総合的に対応可能。
- 司法書士:借金額が小さく手続きが比較的単純な場合や、登記関係など限定的業務での依頼に向く。ただし個人再生は一定の代理権が必要なため、司法書士が扱えない場合もある。
- 費用感(目安):弁護士費用は着手金・報酬で合計数十万円~。法テラスの援助や弁護士会の分割が利用できることがあります。司法書士はやや安価だが、取り扱い範囲に制限。

2-7. よくある手続き中のトラブルと回避策

- 提出遅延:通帳や源泉徴収票の準備不足が原因。回避策は事前チェックリストでの確認。
- 証拠不足:配偶者の実際の家計貢献を示す振込記録が無いと不利。定期的な生活費振替は通帳で証明できるので、日常から記録を取る。
- 審査の不透明さ:質問には誠実に答える。専門家を通じて説明資料を整備することで誤解を避けられる。

3. ペルソナ別ケーススタディ — あなたの状況だとこう考える

(各ケースは実務でよく見るパターンを具体的数値や資料例で示します)

3-1. ケースA:40代・夫に債務、配偶者に収入あり(安定収入が後ろ盾)

状況:夫(申立人)は年収450万円、負債総額800万円。妻はパートで年収200万円、同居。住宅ローンは夫名義。
対応のポイント:
- 再生計画の支払可能性:夫の可処分所得だけだと返済が厳しいため、妻の収入を「家計支援」として、家計収支を詳細に示す。
- 提出書類:妻の源泉徴収票、通帳の振込履歴(毎月生活費として振込がある場合)。
- 住宅ローンがある場合は住宅ローン特則を検討。名義・連帯債務の有無確認が重要。
実務TIP:妻の収入で生活費を賄えることが明確だと、裁判所は夫の負担を減らした計画にも寛容になります。

3-2. ケースB:共働きで高収入(収入合算の扱いと審査のコツ)

状況:夫婦共に年収800万円ずつ、債務合計1500万円(カードローン・事業借入)。
ポイント:
- 高収入でも支出が多ければ審査で疑問が出る。生活費の実態と貯蓄の有無を示す。
- 申立人の収入が高い場合、再生計画の弾力性は下がる(債権者はより多く回収を期待する)。
- 収入合算は基本的にしないが、家計全体で返済を支える力がある点は有利に働く。
実務TIP:高収入であっても、家計の「余剰」を示す資料(預金残高、投資売却の可能性)を出して説得力を持たせる。

3-3. ケースC:自営業(申立人)と配偶者の収入(給与)— 所得計算の難所

状況:自営業者の収入変動が大きく、妻は安定した給与所得者。
ポイント:
- 自営業は確定申告書(青色申告決算書)で所得を確定させる。直近数年の変動を説明する必要がある。
- 配偶者の給与で家計を支えているなら、毎月の振込履歴や家計簿で証明。
- 裁判所は過去の所得変動を見て「今後の見込み」を判断する。保守的な見積りが必要。
実務TIP:自営業のケースでは「直近3年分の確定申告」を準備し、収入減少の理由と回復見込みを文章で説明すると有利。

3-4. ケースD:所得が低く安定性が不安な家庭(代替案の検討)

状況:夫の収入が低くパートの妻と合算しても返済余力が乏しいケース。
選択肢:
- 個人再生の検討と同時に生活再建計画(職業訓練、就業支援、家計の大幅見直し)を示す。
- 場合によっては自己破産や任意整理と比較検討する。住宅を残したいなら再生、残すことが難しければ破産も選択肢。
実務TIP:収入改善の具体策(就職活動の計画、行政の支援)を添付することで、裁判所の信頼を得られる。

3-5. ケースE:離婚リスクがある場合(財産分与と再生計画の関係)

状況:申立人が離婚を検討中。配偶者の収入・資産が計画に影響。
注意点:
- 離婚が成立すると家計実態が変わるため、再生計画の履行可能性に重大な影響を与える。
- 財産分与が予想される場合はその見込みを収支表に反映し、最悪ケースの説明も必要。
- 共同負債(連帯保証や連帯債務)があるか否かで配偶者の協力や責任範囲が変わる。
実務TIP:離婚リスクがあるなら、弁護士に家族法(離婚・財産分与)と破産再生の両面で相談して、計画の堅牢性を確保する。

3-6. ケース別の要点まとめ(共通して押さえること)

- 正直に、かつ資料で裏付けること(通帳、源泉徴収票、確定申告)。
- 生活費と支払余力の整合性を示すこと(家計簿・支出削減案)。
- 共同名義や連帯債務は必ず開示すること。
- 変動要素(病気、失業、離婚)はリスクとして説明し、代替案を添付すること。

4. 専門家の活用と法的留意点 — どこに頼れば安心か

4-1. 法テラスの役割・利用方法(具体手順)

法テラスは初回の法律相談が無料となる場合があり、資力要件を満たせば弁護士費用の立替制度も利用可能です。利用手順:
- 電話またはウェブで相談窓口に予約。
- 収入・資産の基本情報を伝え、利用基準に該当するか確認。
- 必要書類を持参して無料相談を受け、紹介された弁護士と個別契約。
私見:費用面で不安がある方は法テラスから入るのが現実的な第一歩です。

4-2. 弁護士・司法書士の費用感と依頼先の選び方(実務チェック)

選ぶ基準:
- 個人再生の経験数(成功事例数や実務経験年数)。
- 住宅ローン特則や配偶者絡みの複雑案件の実績。
- 費用の明瞭さ(着手金・報酬・実費の内訳を確認)。
費用目安(実務例):
- 着手金:数万円~数十万円、成功報酬:認可後に支払うケースが一般的。詳細は事務所ごとに差異あり。
実務TIP:無料相談で複数事務所の比較見積もりを取ると選択ミスが減ります。

4-3. 裁判所での質問準備と提出書類の整え方のコツ

裁判所は書面の整合性を重視します。準備のコツ:
- 時系列で書類を並べて説明文(陳述書)を添付。
- 通帳や給与明細は日付が読めるようにコピー品質を上げる。
- 不明点や経済変動の理由は具体的数値と共に記述(営業減収、ケガ等)。
実務TIP:弁護士と「想定質問リスト」を作り、口頭での説明練習をしておくと安心。

4-4. プライバシー保護と家族への影響を最小化する伝え方

家族に手続きの事実をどう伝えるかは重要です。配偶者や子どもへの説明ポイント:
- 手続きの目的(返済負担の軽減、生活再建)を正直に説明。
- 共有資産の扱いや、家計変化の具体的な影響(例:外食費の削減、車売却の可能性)を示す。
- プライバシー面では、裁判所の手続きは公開情報が一部あるため、匿名性配慮の相談を弁護士にする。
私見:家族の理解を得ることで手続きの実行性が格段に高まります。早めに話して協力を取り付けるのが吉です。

4-5. 生活再建のための具体的アクション(家計管理・収入安定化)

短期・中期の具体策:
- 短期(0~6か月):不要支出停止、緊急貯金・資金調達(親族借入の可否確認)、法テラス相談。
- 中期(6か月~2年):職業訓練、転職活動、スキルアップ、副業許容の範囲で収入増加。
- ライフライン確保:住居維持のため住宅ローン特則利用、公共支援(生活保護は最終手段)の検討。
実務TIP:計画に現実味があると裁判所に評価されます。具体的に何をいつやるかを示すと効果的。

4-6. よくある質問と回答(制度変更や注意点)

- Q:配偶者の収入を隠せば有利になる? A:隠すと後で不利。開示が原則。
- Q:離婚すると計画に影響する? A:大きく影響する可能性あり。事前に弁護士と連携を。
- Q:申立て中に収入が増えたら? A:その情報は裁判所に報告。計画修正が必要な場合あり。

4-7. 実務上の注意点と失敗例(避けるべき行動)

よくある失敗:
- 書類不備で申立てが遅れる。
- 配偶者の口座や資産を故意に隠す。
- 経費や家計を曖昧に説明して監督委員の信用を失う。
回避策:専門家にチェックしてもらい、透明性を持って進める。

5. 追加リソースと引用(最重要:ここで出典を一度だけ提示)

(ここでは本文中で参照した法令・公的情報・参考資料を一覧で示します。請求があれば原典を個別確認してください。)

出典・参考文献(本文での根拠提示に使った主な公的情報)
- 民事再生法(日本の法律文書・民事再生に関する法令解説)
- 裁判所:「個人再生手続の概要」および各地裁の事務運用ガイドライン
- 日本司法支援センター(法テラス):個人再生に関する相談窓口の案内
- 各種判例・実務指針(裁判所の公開情報)
- 実務書(民事再生・債務整理の解説書)および弁護士会の実務ハンドブック

(注:上記出典は、各公的機関や法令の公式ページ、専門書等に基づいて本文を作成しています。詳細な条文や最新の運用は必ず公式情報で確認してください。)

6. 補足セクション — 実務で使えるツールとチェックリスト

6-1. 用語集(簡潔に)

- 個人再生:民事再生法に基づく個人向けの債務整理
- 再生計画:返済方法・期間を具体化した計画書
- 清算価値:破産した場合に債権者に分配されると見込まれる価値
- 監督委員:裁判所が選任することがある監視役
- 住宅ローン特則:マイホームを保護しつつ債務整理する制度

6-2. 図解(言葉で可視化)

- 収入計算の流れ:申立人収入 → 必要生活費(家族構成)→ 可処分所得 → 再生計画での毎月弁済額
- 申立てステップ:相談 → 書類準備 → 申立て → 審査 → 認可 → 履行

6-3. チェックリスト(提出前に必ず確認する事項)

- [ ] 最新の源泉徴収票/確定申告書を揃えたか?
- [ ] 過去12か月分の通帳コピー(主要口座)を用意したか?
- [ ] 住宅ローン・賃貸契約・保険の書類を揃えたか?
- [ ] 配偶者の収入を示す書類(源泉徴収票、振込記録)を準備したか?
- [ ] 家計簿・支出削減案を作成したか?
- [ ] 弁護士または法テラスに相談済みか?

6-4. ケース別シミュレーション(具体値でイメージ)

シミュレーション例(簡易):
- 申立人年収300万円(可処分/月=約15万円)、配偶者年収150万円(家計に月5万円提供)→ 再生計画の月返済は申立人の可処分をベースに算出、配偶者の提供分は支援として参考に。
(注:実際の金額算出は裁判所基準、家族構成や居住地域の生活費水準で変動します)

6-5. よくある間違いと正しい対処法

- 間違い:配偶者の収入を無理に隠す → 対処:早めに弁護士に相談して正しい開示方法を確認。
- 間違い:書類は後で揃えば良いと考える → 対処:申立前にできる範囲で完全に整える。

FAQ(よくある質問とすぐ使える回答)

Q1:配偶者がフリーランスで収入変動が大きい場合、どうすればいい?
A1:直近2~3年の確定申告書を用意し、平均所得と変動要因(繁忙期・閑散期)を説明。備えとして貯金や臨時収入の可能性も示す。

Q2:配偶者が別居中で生活費援助が無い場合はどう判断される?
A2:別居なら家計は別と見なされるが、共有資産や連帯債務がある場合は開示が必要。別居の事情は書面で説明する。

Q3:申立て中に子どもが増えた(出生)場合は?
A3:家族構成の変化は収支に影響するため速やかに裁判所へ報告し、再生計画の修正が必要なケースがある。

まとめ(読むことでできることの再確認)

- 配偶者の収入は「直接合算」されるわけではないが、家計の実態把握や再生計画の実行可能性評価では重要な参考情報になります。
- 一番のコツは「透明性」と「資料の整備」。通帳・源泉徴収票・確定申告書・家計簿をそろえて、専門家と戦略的に進めましょう。
- 法テラスや経験豊富な弁護士を早期に頼ることで、手続きの負担とリスクを減らせます。
私見:配偶者がいるからといって安易に配偶者名義の資産や収入に頼るのではなく、家族全体の現実的な生活設計を考えた上で透明に進めるのが最も確実です。
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出典・参考(本文で参照した主な公的情報・実務資料)
- 民事再生法(法令本文、民事再生制度の基本)
- 裁判所:「個人再生手続」解説ページおよび地方裁判所の実務案内
- 日本司法支援センター(法テラス):個人再生相談・弁護士紹介の案内
- 各種実務書・弁護士会作成の個人再生ハンドブック(実務的な手続解説)
(注)最新の運用や地域差がある項目については、必ず公式情報(裁判所・法テラス)や担当弁護士に確認してください。

この記事は一般的な解説を目的としたもので、個別の判断が必要な場合は専門家に相談してください。

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