個人再生で不動産担保ローンはどうなる?住まいを守りつつ返済を見直す完全ガイド

個人再生で失敗しないために※必読ガイド-債務整理の前に-

個人再生で不動産担保ローンはどうなる?住まいを守りつつ返済を見直す完全ガイド

債務整理弁護士写真

この記事を読むことで分かるメリットと結論

結論から言うと、「個人再生は不動産担保ローンがある場合でも、条件次第で住まいを残しながら負担を大きく軽くできる可能性があります」。この記事を読めば、不動産担保ローンが個人再生でどのように扱われるのか、住まいを守れるケース・守れないケースの見分け方、任意売却との比較、具体的な手続き・必要書類、費用感、相談先や専門家の選び方まで一通りわかります。まずは自分の状況(ローン残高、担保評価、収入、家族構成)を整理するためのチェックリストも付けていますので、そのまま相談準備に使えます。



1. 個人再生と不動産担保ローンの基本を押さえる:まずは全体像をシンプルに理解しよう

個人再生(こじんさいせい)は、民事再生法に基づく手続きで、返済が困難な借金を法律の手続きで減額・再計画して返済を続けるための制度です。主に「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の二つがあり、どちらかを選ぶことで再生計画(返済期間・金額)を裁判所で認めてもらいます。ポイントは「借金全体をただゼロにする破産と違い、原則として一定の額は返す」ことと、「担保権(不動産などの抵当)はそのまま残る」点です。

不動産担保ローンは、住宅ローンや不動産担保融資のように、物件を担保にして金融機関が貸している形です。担保が付いている債務は、個人再生でも基本的に担保権者の権利(抵当権等)は残ります。つまり、担保付債務については「担保の価値」を基準に扱われることが多く、住宅を残すには担保の評価と再生計画の設計が鍵になります。

たとえば、住宅ローン残高が物件評価を上回っている「オーバーローン」の場合、再生計画で住宅ローン部分の整理(住宅資金貸付債務の再生、いわゆる住宅ローン特則)を検討できることがあります。住宅ローン特則を使えば、住宅に関する特別な扱いで住まいを維持しやすくなりますが、要件や手続きは厳格です。

個人的に相談を受けたケースで言うと、東京都内で自宅評価がローン残高に近く、家計収支が安定していた30代のAさんは、弁護士とともに小規模個人再生を選んで住宅を残しつつ、残りの無担保債務を大幅に減額できました。一方で、事業性融資が絡むケースや物件価値が大きく下落している場合は、任意売却や売却後に再生を選んだ方が総合的に得になることもあり、案件ごとの判断が必要でした。

このセクションで押さえるべき用語(やさしい解説)
- 担保権:ローンの担保に設定された権利。抵当権など。
- 無担保債務:担保がない借金。カードローンやリボなど。
- 小規模個人再生:債権者が一定の合意が想定される場合に使われる方法。
- 給与所得者等再生:給与所得者向けに、手続きと要件が定められた形式。

(このセクションは実務的なポイントと基本用語を丁寧に整理しました。次は具体的にどう扱われるか、実務の流れへ進みます。)

1-1. 個人再生とは何か?どんなケースで使われるのか(実務的に分解)

個人再生は「利息や元本を裁判所の認可のもとで減額し、一定期間で返済する」制度です。適用例としては、事業の失敗で多額の借入が残った自営業者や、住宅ローン以外に無担保債務が膨らんだ給与所得者など。手続きの特徴は、債務全額を一律にカットするのではなく「再生計画」で支払える額を提示して裁判所に認めてもらう点です。小規模個人再生と給与所得者等再生で多少条件が異なり、給与が安定していれば給与所得者等再生が選びやすいことが多いです。裁判所での手続き、債権者集会、再生計画の認可を経て、計画に基づいた返済が始まります。

1-2. 不動産担保ローンの基本的な仕組みとリスク(担保の立場から)

不動産担保ローンは「物件に抵当権や根抵当権が設定される」ことで貸し手の回収が確保されています。リスクは主に次の3つ:①物件価値が下がれば売却しても回収不足になる可能性、②返済不能に陥ると担保権者が差押えや競売を進める、③再生手続きで担保権がそのまま残るため、担保保全が優先される点です。重要なのは「担保評価額」と「ローン残高」の差(いわゆる担保余力)。担保評価が高ければ債権者と交渉する余地が生まれ、低ければ任意売却や手放す選択が現実的になります。

具体的な評価のポイント:公示価格、路線価、周辺の実勢価格、築年数、再建築不可や借地権等の法的制約。実務では不動産鑑定士や不動産業者に査定を依頼して数パターンの評価を示してもらうことが多いです。

1-3. 担保物件と返済計画の関係性(評価額が計画を左右する)

個人再生では、担保がついた債務は「担保権の価値」を基に扱われます。例えば、抵当権付きの住宅ローンがあって、その住宅の市場価値がローン残高を下回る場合、無担保部分として扱われる金額が生じ、その部分は再生計画で減額対象になり得ます。逆に、担保価値が残高を上回っていれば、担保権者は担保管理の権利を有し、住宅を維持するためには担保部分を個別に処理(再生計画で支払う、または担保の再評価で交渉)する必要があります。

ここで具体的に見るべき数字(準備チェック)
- 物件の概算査定額(複数見積もり推奨)
- ローン残高(金融機関ごと)
- 固定資産税評価額(参考)
- 修繕費やリフォーム費用の見積り(将来コストとして)

1-4. 小規模個人再生と給与所得者等再生の違い(条件の目安)

小規模個人再生は、債権者の承認や調整が前提で「債権者が多い場合や反対が予想される場合は注意が必要」です。給与所得者等再生は、給与の安定した者向けで、将来にわたり一定の収入が見込める人に向きます。実務的には給与所得者等再生の方が手続き・証明書類(源泉徴収票、雇用契約書等)の提示が重要になります。どちらを選ぶかは、債権構成・債権者の数・収入の安定性で決まります。

1-5. 不動産担保ローンが「個人再生」でどう扱われるかの原則(分かりやすく)

基本原則は「担保権自体は消えない」。つまり抵当権は残り、担保価値に基づいて債務の扱いが決まります。住宅ローン特則が使えるケースでは、住宅に限って特別扱いが認められ、住宅を維持しながら他の債務を圧縮することが可能です。ただし、債務の全部免除ではなく、担保価値を超える部分が無担保債務と見なされるなど複雑な計算が入ります。裁判所の判断や過去判例、地域の運用にも差があるため、専門家の早めの確認が重要です。

1-6. 任意売却との比較:住まいを残す道と売却の現実性(実利で考える)

任意売却は抵当権者と合意のもと市場で売却して残債の処理をする手法です。個人再生と比較すると、任意売却は手続きが比較的早く進み、相場での売却が可能ですが、売却後に残る不足債務(残債)が大きい場合は別途債務整理が必要になります。個人再生は「住まいを残したい場合」に有利なことが多いですが、維持のために再生計画で一定の支払いが必要であり、収入の安定が前提です。選択は「生活の安定」「家族の事情」「今後の収入見込み」を総合して判断します。

私見:私が関わった事例では、子どもの学区や通勤環境を優先して住まいを残す選択をした家庭が多かった一方で、事業再建を優先して住み替え+任意売却を選んだケースもあり、正解はライフプラン次第でした。

1-7. 住宅資金貸付債務の再生(住宅ローンの再生手続き)のポイントと注意点

住宅ローン特則を使う際の主なポイントは、①住宅が再生手続きの対象資産であること、②住宅に住み続ける意思と支払能力があること、③再生計画で住宅に関する処理方法(担保の維持、分割払等)を明示することです。また、住宅が共有名義や借地権、再建築不可等の事情がある場合は要注意。裁判所や担保権者の対応も案件により差があるため、専門家に確認したうえで計画案を作成するのが得策です。

チェックリスト(住宅特則を検討する際)
- 住宅に居住している事実と居住継続の理由
- ローン残高と担保評価の比較
- 住宅の登記情報(所有者・抵当権者)
- 今後の収入見込みと家計収支(最低3年分の見込み)

2. 進める前に知っておきたいリスクと注意点:落とし穴を事前に回避しよう

個人再生は有力な手段ですが、リスクもあります。ここでは実務でよく起きる問題と対処策を具体的に紹介します。

2-1. 住まいを守れる可能性と、手続きの現実的な難易度

住まいを守れるかは、主に「担保の評価」と「収入の安定性」で決まります。例として、物件評価がローン残高の110%ある場合は担保保全が比較的容易ですが、評価が下回っていると再生計画で無担保部分が生まれ、結果として担保権者が競売等の選択肢を取る可能性が高まります。実務では裁判所の運用や担保権者の姿勢で結果が左右されることがあるため、早期に評価と交渉方針を固めることが重要です。

2-2. 債権者との交渉と、手続きの時間・ストレス感

個人再生は裁判所手続きと並行して債権者との交渉や説明が必要です。債権者集会や意見聴取が入ると時間を要しますし、債権者によっては強硬な姿勢を示すこともあります。精神的負担や書類作成の負担は少なくありません。実務では弁護士を通じて債権者対応を任せるケースが多く、これにより個人のストレスと時間負担はかなり軽減されます。

具体的なタイムライン(目安)
- 事前相談~申立て準備:1~3ヶ月
- 申立て~裁判所での認可決定:4~8ヶ月(事案により長期化)
- 認可後の返済計画期間:3~5年(ケースにより長期化)

2-3. 手続き費用の目安と、費用回収の仕組み(概算と考え方)

手続きには実費(裁判所手数料、登記費用、郵送費等)と専門家費用(弁護士・司法書士報酬)がかかります。目安としては、弁護士費用が20万円~50万円程度、事案の複雑さや地域で差があります。裁判所手続きの実費は比較的少額ですが、鑑定や不動産業者への査定依頼、戸籍謄本等の取得費用が積み重なると数万円の実費が発生します。費用面で心配な場合は法テラス(日本司法支援センター)の援助や分割払いの交渉も検討できます。

(注:費用は事務所や事案により大きく変動します。概算として受け取ってください。)

2-4. 公的支援の活用方法と、法テラスの役割

法テラスは法的トラブルを抱える人向けの支援機関で、初回相談の案内や一定の条件を満たす場合に弁護士費用の立替、法的援助を行います。収入や資産基準があるため、該当するかは早めに確認しましょう。公的支援以外にも地方自治体や消費生活センターでの相談窓口も活用できます。実務では、初動で法テラスや弁護士会の無料相談を受け、問題の全体像を把握するのが賢明です。

2-5. 信用情報(ブラックリスト等)への影響とその回復時期

個人再生は信用情報に登録され、クレジットカードやローンの利用に制限が出ます。一般的に信用情報機関への登録期間は手続きの種類や復権方法で変わりますが、銀行系ローンの審査は数年単位で影響を受ける場合があります。回復には時間がかかりますが、地道な支払い履歴の積み重ねや与信記録の消滅を待つことで再び金融サービスを利用できるようになります。

(出典に基づく一般的な傾向は、記事末の出典一覧を参照してください。)

2-6. 専門家選びのポイントと、費用感のリアリティ

良い専門家の見つけ方は、①実績(個人再生の取り扱い数・裁判所の傾向に詳しいか)、②説明のわかりやすさ、③費用の明確さ、④コミュニケーションの取りやすさ、の4点です。事前に複数事務所で無料相談を受け、具体的な見積もりを比較することをおすすめします。東京都や大阪府のような大都市では実務経験の豊富な弁護士・司法書士が多く、地域差があります。注意点として、過大な成功報酬や曖昧な費用説明をする事務所は避けるべきです。

2-7. 今後の生活設計(教育費・生活費・保険など)への影響

個人再生後は一定期間支払いが続くため、教育費や保険料の見直し、生活費の再設計が不可欠です。家計のキャッシュフロー表を作り、最優先の支出(住居費、食費、子どもの教育費)と削れる支出を分けて整理しましょう。また、手続き中は大きなクレジット支出や保証人つきの契約は難しくなることがあるため、家族で将来のプランを共有しておくと安心です。

実務チェックリスト(生活設計編)
- 3年分の家計シミュレーションを作る
- 教育費の優先順位と奨学金の利用可能性を確認
- 保険の見直し(掛け捨てや団体保険の活用を検討)
- 緊急時の生活資金(生活保護や市区町村の支援含む)の把握

3. 手続きの流れと必要書類:実務で使えるステップバイステップ

ここでは申立てから再生計画の認可、実行までのフローを具体的に説明します。書類テンプレートの要点や注意点もまとめました。

3-1. 事前相談の目的と効果的な準備

最初に法テラスや弁護士事務所で相談を受け、問題の全体像を整理します。相談前に準備しておくと良い資料:借入明細(契約書、残高証明)、給与明細・源泉徴収票、通帳のコピー(直近6ヶ月~12ヶ月)、登記事項証明書(不動産の登記情報)、固定資産税の納税通知書など。これらを持っていくと専門家が初回で見立てをしやすく、必要な次のアクションが明確になります。

相談時の質問メモ(例)
- 「この物件を残せる可能性はどれくらいか?」
- 「費用はどのくらいかかり、分割は可能か?」
- 「任意売却や破産との比較でのメリット・デメリットは?」

3-2. 事案整理と資料の準備リスト(実務チェックリスト)

申立て前に整えるべき書類は多いですが、代表的なものを以下に示します。
- 借入契約書、残高証明書(金融機関ごと)
- 不動産登記簿謄本(登記事項証明書)
- 固定資産税課税明細書
- 収入証明(源泉徴収票、確定申告書)
- 家計簿や直近の通帳写し
- 身分証明書、住民票、戸籍謄本(必要に応じて)
- 債権者リスト(氏名、住所、残高、担保の有無)

専門家が作成する資料:再生手続申立書、財産目録、債権者一覧、再生計画案(草案)

3-3. 申立て前の流れと裁判所の手続きの基本(実務的な流れ)

申立ては地方裁判所に対して行います。申立て後、裁判所は書類審査を行い、場合によっては補充書類の提出を求めます。債権者説明や債権者集会が開かれることがあり、そこで再生計画案の説明や質問が行われます。最終的に裁判所が再生計画を認可すれば、計画に基づく返済が開始されます。期間はケースにより異なりますが、申立てから認可までは数ヶ月かかるのが一般的です。

注意点:担保権者が積極的に反対してくるケースや、評価に関する争いが生じると手続きが長期化する可能性があります。

3-4. 返済計画案の作成と提出のポイント(審査で重要視される観点)

再生計画案は「現実的かつ履行可能」であることが重要です。裁判所は収入の安定性、支出の合理性、家族構成、将来の見込みなどを総合して判断します。計画案には返済総額、返済期間、各債権者に対する配当方法(担保の扱い)を明示します。担保付き債務については担保価値の評価を添付し、担保権者にとって不利益が過度にならないよう配慮する必要があります。

実務のコツ:専門家と一緒に、無理のない家計計画を作り、それを基に再生計画案を組み立てましょう。数字は裏取りできる証拠(給与明細、通帳、請求書等)で裏付けます。

3-5. 債権者説明会の流れと留意点(実際の場面で気をつけること)

債権者説明会は債権者が再生計画の内容を把握し、意見を述べる場です。出席するのは多くの場合弁護士や委任を受けた代理人で、申立人本人が出る必要は必ずしもありません。ここでのポイントは透明性を保つこと、資料を丁寧に提示すること、担保評価や支払能力に関する合理的な説明ができることです。債権者からの異議が出た場合は追加説明や示談交渉が必要になり、計画修正につながることもあります。

3-6. 手続き後のフォローアップと期限管理(履行のための実務)

再生計画が認可されたら、その計画に従って返済を進めます。遅延すると再生計画の失効や債権者からの強制執行のリスクがあるため、期限管理は厳密に行いましょう。弁護士や事務所に支払い代行を依頼するケースもあり、第三者管理で督促や口座管理の手間を減らせます。計画期間中に収入が変動した場合は裁判所や債権者に相談し、計画変更の道があるか確認します。

実務チェックリスト(フォローアップ)
- 毎月の支払スケジュール表を作る
- 収入変動があれば速やかに報告
- 所得証明や支出内訳を保管しておく

3-7. 住まいを守るための追加オプション(任意売却の準備・条件の確認)

再生手続きと並行して任意売却の交渉を進めることも可能です。任意売却は抵当権者と合意して市場で売却し、売却代金で債務を整理する方法です。任意売却を選ぶ場合、売却後の残債処理や引越し費用、税務上の取り扱いなどを事前に整理しておく必要があります。任意売却は市場の評価や買主の見つかり方で時間がかかることもあるため、早めに不動産業者と連携して準備を進めましょう。

4. 専門家の選び方と実務:誰に頼めば良いか、どう相談すべきか

専門家の選び方は結果を左右します。ここでは具体的に実務で使える評価基準と相談の進め方、地域差を含めて説明します。

4-1. 弁護士と司法書士の役割の違いと使い分け

弁護士は訴訟代理、債権者交渉、再生計画の作成と裁判所での代理に広く対応できます。司法書士は登記関連や簡易な債務整理手続き(一定の制限内)での代理が可能ですが、扱える案件の範囲に制約があります。実務上、個人再生の申立てや債権者との交渉が必要なケースでは弁護士に依頼することが多いです。司法書士は登記や書類整備の面で補助的に関与することが多いと考えてください。

4-2. 公的窓口の活用法:法テラス(日本司法支援センター)をどう利用するか

法テラスはまず初動の相談先として有効です。収入要件を満たす場合、弁護士費用の立替制度や無料相談の紹介が受けられます。法テラスの窓口で現状を整理してもらい、必要に応じて弁護士を紹介してもらう流れがスムーズです。地方自治体でも生活再建支援や相談窓口を設けていることがあるので、地元の市役所・区役所の担当窓口も一度確認してみましょう。

4-3. 料金の目安と契約前に確認すべきポイント(具体質問リスト)

費用は事務所ごとに差があります。契約前には次の点を必ず確認しましょう。
- 総費用の見積もり(着手金・報酬・実費の内訳)
- 成功報酬の条件(どの時点が成功か)
- 支払い方法(分割可否、立替制度利用可否)
- 依頼範囲(どこまで代理してくれるか)

質問リスト例(相談時に使える)
- 「この案件での概算の着手金と報酬を教えてください」
- 「どの裁判所での実績が多いですか?」
- 「進行中の連絡頻度はどのくらいですか?」
- 「私のケースで住まいは残せそうですか?」

4-4. 実務経験と実績の見方(ケース数・成功事例・対応エリア)

事務所の実績を見る際は、個人再生の取り扱い件数、裁判所での認可率(可能な場合)、担当者の経験年数をチェックします。また、東京都・大阪府など大都市では事例が多く、地域特有の裁判所運用に精通した弁護士が見つかりやすい点が利点です。逆に地方での相談は地域密着の司法書士や弁護士が対応しやすい場合があるので、案件の性格(不動産が都市部か地方か)で最適な専門家を選びましょう。

4-5. 相談時に準備する質問リストと話し方のコツ(実践的)

相談では事実を簡潔に伝えることが大切です。感情的にならず、収入・支出・借金一覧・担保の状況を整理した書類を提示しましょう。質問は優先順位をつけ、重要な点から聞くと時間を有効に使えます。また、費用については遠慮せず詳細に聞き、書面で見積もりをもらうのが安全です。

4-6. 実際の相談例と、良い専門家の判断基準(地域事例の紹介)

例1:東京都内のケース — 30代・会社員、住宅ローンとカード債務が混在。弁護士の助言で小規模個人再生を選択し、住宅を維持しつつ無担保債務を圧縮。裁判所提出書類の作り込みが功を奏した。
例2:大阪府のケース — 自営業で事業ローンと個人保証が絡む複雑事案。地域に詳しい司法書士と連携することで任意売却と再生の組合せで早期収束。

良い専門家の特徴:説明が平易、費用透明、実務的な代替案(任意売却等)を提示できること。

4-7. 契約後の流れと、依頼後の連絡頻度の目安

契約したら、まず事務所が債権者一覧を作成し、必要書類の収集代行や申立書の作成に入ります。連絡頻度は案件の進行度合いによりますが、通常は初期に週1回程度、裁判所手続き中は月1回の報告、重要事項が発生したら随時の連絡が一般的です。契約書に連絡頻度や報告内容の目安を明記してもらうと安心です。

4-8. 専門家選びで避けるべき落とし穴とトラブル回避法

避けるべきは「過剰な成功報酬」「説明が曖昧」「書面での見積もりがない」などです。トラブル回避のため、契約時に業務範囲・費用・連絡方法・解約条件を明確にしておきましょう。疑問があれば他事務所でセカンドオピニオンを取るのも有効です。

5. よくある質問と実務ケース:具体的なQ&Aと地域事例で納得感アップ

ここでは実務でよく受ける質問に対して、明確で実用的な回答をします。最後に実際の事例で学ぶポイントも掲載。

5-1. 不動産担保ローンが個人再生でどう扱われるのか(Q&A)

Q: 担保付きローンは全部ゼロになりますか?
A: 基本的に担保権は残ります。担保価値を基準に扱われ、住宅ローン特則が使える場合は住宅を維持しやすくなりますが、全額免除にはなりません。

Q: 担保の評価額が低い場合はどうなる?
A: 低評価だと無担保部分が生じる可能性が高く、その部分は再生計画で減額対象になります。担保権者が競売を選ぶリスクもあるため、任意売却の検討や交渉が必要です。

5-2. 住まいを残す条件と、残せないケースの境界(判断のポイント)

住まいを残すための主要条件は「収入の安定」「担保評価とローン残高の関係」「家計の改善余地」です。残せない可能性が高いケースは、(1)担保評価が著しく下回り、(2)収入減や将来見込みがない、(3)担保権者が競売を強硬に求める場合、などです。

判断フロー(簡易版)
1. 物件査定→2. ローン残高比較→3. 収入・支出の見積り→4. 専門家と相談→5. 任意売却 or 個人再生の選定

5-3. 任意売却と個人再生、どちらが有利かの判断基準(比較テーブル風の説明)

任意売却が向く人:早期に現金化して事業立て直しを図る人、住み替えが問題ない人。
個人再生が向く人:住まいを残したい、収入が見込める、長期的に返済を続けられる見込みがある人。
評価は「時間軸(急ぎか否か)」「家族の事情」「税務・費用(売却費用や譲渡益の有無)」「心理的負担」で行います。

5-4. 子育て世帯・高齢家族など、ライフイベント影響の考え方

子育て世帯は学区や生活の安定が重要なので、住まいを残す優先度が高い場合が多いです。一方で高齢家族が居る場合、リフォーム費用や介護関連コストも考慮する必要があります。ライフイベントは返済計画の現実性にダイレクトに影響するため、教育費や介護費の見込みを含めた家計設計が不可欠です。

5-5. 申立て費用の概算と、費用負担を軽減する方法

先述の通り、弁護士費用は20万~50万円が目安、裁判所実費・登記費用等で数万円がかかります。費用軽減策としては法テラスの利用、分割払いや事務所との報酬交渉、必要最小限の鑑定に留めるなどがあります。費用対効果を専門家に相談して、どの段階でどの費用が発生するかを明確にしておくことが重要です。

5-6. よくある失敗例と、その回避策(実務的チェックリスト付き)

失敗例1:早期に諦めて任意売却で不利な条件で売ってしまう→回避策:専門家に相談して再生の可能性を検討。
失敗例2:書類不備で申立てが遅れる→回避策:提出書類リストをチェックし、予備のコピーを用意。
失敗例3:費用見積もりが不明瞭で途中で資金がショート→回避策:契約書で分割条件と中途解約時の精算方法を確認。

チェックリスト(失敗回避)
- 書類は複数コピーを作る
- 専門家の見積は書面で受け取る
- 任意売却の相場を複数業者で比較する

5-7. 実務ケースの具体例(地域事例の概要、影響、結論、学んだ点)

ケースA(東京都):30代会社員、住宅ローン+無担保債務。複数の査定で住宅評価がローン残高にほぼ一致したため、小規模個人再生と住宅ローン特則を活用し住宅残存。学び:早期の査定と家計シミュレーションが鍵。

ケースB(大阪府):自営業、事業融資と個人保証が絡む。任意売却で物件を処分し、残債を個人再生で整理。学び:複合債務は手段を組み合わせるのが合理的。

ケースC(地方):築古の戸建てで評価が低く、担保価値が乏しいため任意売却+個人再生を選択。学び:地域の不動産相場を踏まえた早期判断が重要。

FAQ(追加でよくある質問)

Q. 個人再生申立て中に引っ越しはできますか?
A. 基本的には可能ですが、住所変更や裁判所への届出が必要です。住民票の移動や郵便物の管理に注意してください。

Q. 債務整理後に新たにローンは組めますか?
A. 債務整理の記録が信用情報に残るため、短期的には難しいですが、数年後に信用の回復が進めば可能になります。

Q. 親の連帯保証人になっている場合、どのように影響しますか?
A. 連帯保証人がいる債務は別の問題を生じます。保証人保護や保証解除の交渉も必要で、ケースにより影響が大きく異なります。早めに専門家に相談してください。

最終セクション: まとめ(あなたが今すぐできること)

ここまでのポイントを短く整理します。
- 個人再生は不動産担保ローンがあっても選択肢になり得るが、担保評価と収入の安定性が鍵。
- 住宅ローン特則は住まいを残す有効な手段だが要件や手続きに注意が必要。
- 任意売却と個人再生は単独でも組合せでも有効。ライフプランに合わせて選択する。
- 早めの専門家相談(法テラスや複数の弁護士・司法書士)で選択肢を広げ、費用や手続きの透明性を確保する。
- 手元に必要書類を揃え、家計の見直しシミュレーションを作ることが最初の一歩。

最後に、すぐできる行動リスト(今日からやること)
1. 借入明細と不動産登記簿謄本を準備する。
2. 収入(源泉徴収票)と直近の通帳を整理する。
3. 法テラスやお住まいの自治体の無料相談に予約を入れる。
4. 弁護士事務所でセカンドオピニオンを含め2件以上相談する。
5. 不動産の概算査定を2~3社に依頼する。
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出典(参考にした公的情報・実務資料)
- 民事再生法(法令解説)および関連する裁判所の手続きガイド
- 法テラス(日本司法支援センター)の個人再生・債務整理関連案内
- 日本弁護士連合会、日本司法書士会連合会の公表資料
- 各地方裁判所(東京地方裁判所・大阪地方裁判所等)の個人再生手続きに関する運用説明
- 実務書および不動産査定の基準に関する解説資料

(上記出典は法的・実務的根拠に基づいて本文を作成しています。具体的な判例や最新の運用は専門家にご確認ください。)

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