この記事を読むことで分かるメリットと結論
結論を先に言うと、年金収入があっても「個人再生」は選択肢になります。年金は収入として再生計画に反映されますが、生活維持に必要な分は考慮されるため、年金がある=個人再生ができない、とは限りません。本記事を読むと、年金の種類ごとの扱い方(国民年金・厚生年金・遺族年金など)、再生計画の組み方、必要書類、裁判所や弁護士/司法書士・法テラスの使い分け、具体的なケース別の返済シミュレーションまで、実務に直結する情報を網羅的に得られます。最後に私の実務での経験に基づくアドバイスも書いているので、不安を小さくできますよ。
1. 個人再生と年金収入の基本を押さえる — 年金がある人の「まず知るべき」こと
個人再生(いわゆる「民事再生法に基づく個人再生」)は、裁判所が関与して債務を大幅に圧縮し、原則3年(最長5年)の分割で返済する制度です。ここで重要なのは「収入認定」。年金収入も収入に含まれ、返済能力の判断材料になりますが、年金は生活費の中心となるため、裁判所は最低生活費を考慮して過度な返済を要求しないのが一般的です。以下、細かく見ていきましょう。
1-1. 個人再生とは?目的と基本仕組み
個人再生は、借金を払えない人(住宅ローンを除く)を対象に、裁判所を通じて支払額を圧縮・再構築する手続きです。主な特徴は次の通りです。
- 裁判所が関与:再生手続きは裁判所で進み、再生計画の認可が必要。
- 減額ルール:小規模個人再生なら原則として最低弁済基準か債権総額の一定割合を比較して決定される(総額による最低弁済額の考え方がある)。
- 住宅ローン特則:住宅を残す「住宅資金特例」が使える場合がある。
- 返済期間:原則3年(最長5年)。収入状況に応じて変動します。
(根拠:民事再生法の制度趣旨、裁判所の手続案内に基づく解説)
1-2. 年金収入が再生計画でどう扱われるか
年金は「収入」として扱われます。つまり、月々の可処分収入(手取り)に年金が含まれ、そこから最低限の生活費や扶養分を差し引いた余剰で返済能力を算出します。ただし重要なのは「生活維持のための最低限度の年金は認められる」という視点。裁判所や債権者は、年金を生活費の柱と見るため、すべて差し出すような計画は通りにくいです。
ポイント:
- 年金は安定収入と見なされるが、減額の対象にもなる。
- 裁判所は生活費基準と比較して無理のない弁済額を要求する。
- 年金受給開始後の収入見込みも考慮される(将来の増減)。
(根拠:裁判所の運用実務、法務相談機関の解説)
1-3. 年金収入の認定と計算の基礎
年金収入の認定では、「受給額(手取り)」を基準にします。具体的には、年金証書や年金振込通知書、年金決定通知(裁定通知書)などで確認した金額を月ごとに算定します。遺族年金や障害年金、厚生年金と国民年金の合算もあるため、明細書の提示が必要です。
計算時の注意点:
- 表示は「支給額(税・保険料差引後の手取り)」が基準。
- 保険料や税が差引かれた後の実際受取額で生活費を見積る。
- 年金以外の収入(アルバイト、配当、家賃収入など)があれば合算。
(根拠:年金受給の公的書類の取扱い、裁判所提出書類の実務)
1-4. 再生計画案における年金の位置づけ
再生計画案では、将来の収入として年金をどのように反映させるかがポイントです。多くの場合、年金受給開始後の月収(生活費含む)をベースに返済可能額を提示します。例えば、年金15万円/月で生活費が12万円であれば、可処分は3万円。これをベースに3年間の弁済計画を作る、といった具合です。ただし、裁判所や再生委員は無理のない生活を優先するため、提示された計画が過度に切り詰めていると却下されることがあります。
(根拠:再生手続関連の裁判所運用、実務家の運用指針)
1-5. 年金と差押え・執行停止の関係
公的年金には差押えに関する制限があります。一般論として「公的年金は生活維持のため差押禁止の趣旨で保護される部分がある」とされていますが、全額が完全に差押できないわけではなく、一定の要件で差押が可能なケースもあります。一方で、個人再生手続開始後は、裁判所手続きの下で債権の執行や差押は停止されるため、手続き開始後の生活安定につながります。
注意点:
- 差押えの可否や範囲は年金種別・差押権者の種類で変わる。
- 個人再生申立て後は既存の取り立てや差押が停止される効果がある。
(根拠:年金法令や裁判所の執行停止制度に関する説明)
1-6. 生活費基準と最低生活費の考え方(年金は生活費の柱)
裁判所は申立人の最低生活費を重視します。裁判所が採用する「最低生活費基準」は世帯状況(単身・扶養あり・居住地域)で変わるため、年金受給者は家族構成や住宅費を細かく書類で示すと説得力が増します。生活費を合理的に説明できれば、無理な返済計画を避けられます。
実務上のポイント:
- 家計簿や公共料金、医療費の領収書で生活費を証明する。
- 高額な医療費や介護費は特別費として認められる場合がある。
- 住宅ローンがある場合は住宅資金特例で扱いが変わることもある。
(根拠:裁判所運用実務、法テラスなどの手続ガイド)
1-7. 年金収入と他の債務整理との違い
年金がある場合、自己破産との比較で個人再生を選ぶ利点があることが多いです。自己破産は免責が受けられれば債務ゼロになりますが、年金受給者で職業制限や財産処分が問題になると判断されるケースもあります。個人再生は住宅を残しつつ減額できる点が強みです。
比較点:
- 自己破産:免責で債務免除。職歴や資格に一定の影響(例外あり)。
- 任意整理:債権者交渉で利息カット等は可能だが、根本的な元本減額は難しい。
- 個人再生:裁判所で一定の減額・分割を認可。住宅資金特例あり。
(根拠:債務整理制度の基本説明)
1-8. 収入の安定性と再生計画の可否判断ポイント
収入の安定性は再生計画の認可に直結します。年金は比較的安定収入と見られますが、受給額が極端に低い場合は返済計画が立てづらくなります。加えて、年齢・健康状態・今後の収入見込み(例えば退職金の有無、配偶者の収入)も考慮されます。
審査で見られる点:
- 年金受給開始時期と将来の増減見込み
- 他に安定した収入源があるか
- 高齢による収入減リスクの有無
(根拠:裁判所の実務・再生委員の判断基準)
1-9. 申立ての前提条件(資産・負債・居住状況)
申立て前に整理すべきは負債全体(債権者、金額、利率、担保の有無)と資産(預貯金、不動産、車等)です。年金収入者は特に住宅ローンの有無や住宅資金特例の適否を確認してください。不動産の有無やその評価額(換価財産)は減額に影響します。
準備リストの例:
- 債権者一覧(借入先名・電話番号・残高・保証人の有無)
- 年金証書、年金振込通知、預金通帳
- 住民票・賃貸契約書・住宅ローンの明細
(根拠:裁判所提出書類の実務)
1-10. 年齢制限や将来の収入見通しが影響するか
法律上の年齢制限はありませんが、実務上は高齢で将来収入が見込めない場合、返済能力の算定が難しく、再生計画の成立が困難になることがあります。逆に年金受給開始前の申立てであれば、将来受給見込みをどう見積もるかが焦点になります。
実務的アドバイス:
- 高齢者は生活費を重視した計画に強くなる傾向。
- 受給開始前は年金見込み額の根拠(年金定期便等)を用意する。
(根拠:裁判所運用と実務家の経験則)
2. 年金収入がある人の個人再生の実務と注意点 — 手続きで何をどうするか
ここでは申立て前~申立て後の実務的な手順と、年金収入者が特に気を付ける点を具体的に整理します。必要書類や計算方法、提出先や専門家の役割まで、実務に直結する情報を詳述します。
2-1. 申立て前の準備と情報整理
申立て前に最低限やること:
- 全債務の調査:カードローン、リボ、住宅ローン、保証債務、税金滞納などを洗い出す。
- 年金の証明準備:年金定期便、年金裁定通知、振込明細など。
- 家計の整理:家賃・光熱費・医療費・介護費などの領収書を6か月~1年分保存。
- 資産評価:不動産・車・預金の現状を把握し、換価可能か検討。
実務のコツ:
- 書類不備は手続きの遅れに直結。早めに揃える。
- 法テラスや弁護士に事前相談して、必要書類のチェックリストをもらうのがおすすめ。
(私の経験:最初に提出不備で数週間遅れた事例があり、事前チェックリストで遅延を避けられたケースが多いです)
2-2. 再生計画案の作成ポイント(年金収入の扱い方)
再生計画案は現実的でなければなりません。年金収入者は次の点に注意して作成します。
- 可処分収入の正確な算出:年金の手取りを基礎に生活費を引く。
- 特別費(医療・介護費)は必要に応じて計上する。
- 住宅ローンがあるなら「住宅資金特例」の適用を検討する(住宅は残すケース)。
- 3年の返済期間で無理があれば、裁判所に延長(最長5年)を求める根拠を用意。
書き方のヒント:
- 家計表と領収書を添付して説得力を高める。
- 将来的な収入変動(年金額の増減)を注記しておく。
(根拠:裁判所提出書類の実務、法テラス案内)
2-3. 年金種別別の扱いのコツ(国民年金・厚生年金・遺族年金)
年金の種類によって実務上の扱いが微妙に変わります。代表例:
- 国民年金:基本的に単独の給付で金額が小さいケースが多く、他の収入との合算で評価される。
- 厚生年金:受給額が比較的大きい場合は返済能力の主たる基準になることがある。
- 遺族年金:扶養している家族の生活維持に直結するため、生活費考慮で免除部分が大きく評価されることが多い。
実務的アドバイス:
- 遺族年金は被扶養者分もあるため、単純に本人の受取額だけで判断しない。
- 年金組合や企業年金がある場合は、その性質(退職金の一部か、継続的給付か)を明確にする。
(根拠:年金制度および裁判所の運用実務)
2-4. 年金収入を前提にした収入認定の実務
収入認定では「実際に受け取る手取り」を重視します。年金の税金や社会保険料差引後の金額を使うこと、そして扶養者がいる場合は世帯収入で評価される点がポイントです。アルバイト収入等がある場合は、継続性を説明する必要があります。
実務チェックリスト:
- 年金振込明細は過去6か月以上を提出する。
- その他の収入は確定申告書や給与明細で証明。
- 収入の季節変動(年金は基本的に季節変動なし)について説明を付ける。
(根拠:裁判所・法テラスの実務指針)
2-5. 申立て先の選択と提出先の実務(裁判所・法テラス)
申立先は住所地を管轄する地方裁判所(簡易裁判所の範囲ではなく、個人再生は地方裁判所)です。法テラスは無料相談や資金援助(条件あり)を行い、弁護士の紹介や手続き支援も行います。提出は書面で行い、添付書類を揃えることが重要です。
注意点:
- 申立て先の裁判所の運用や担当部署は地域で差があるため、事前に確認。
- 裁判所に出す書式は標準化されているが、書き方を誤ると審理が長引く。
(根拠:裁判所の管轄規程、法テラスのサービス概要)
2-6. 弁護士・司法書士・専門家の役割と選び方
- 弁護士:個人再生の代理業務を含め法的主張や債権者交渉、裁判所対応まで広く担当。複雑な事案や争点がある場合は弁護士の起用が強く推奨される。
- 司法書士:一定の債務額以下の事案(代理権限の範囲内)で文書作成などを支援。案件により業務範囲が限られる。
- 法テラス:無料相談・費用立替・紹介窓口として有用。条件に該当すれば弁護士費用を一部立替してもらえる場合あり。
選び方のコツ:
- 個人再生の経験が豊富な事務所を選ぶ。
- 年金絡みの事例経験があるかを確認する(初回相談で必ず質問)。
- 料金体系(着手金・成功報酬・実費)を明確にする。
(私の経験:年金絡みのケースは提出書類のチェックが細かく、経験豊富な弁護士だと手続きがスムーズでした)
2-7. 事前シミュレーションとケース別の留意点
事前に返済シミュレーションをしておくと、裁判所や債権者との交渉で説得力が増します。年金15万円/月で生活費12万円なら可処分3万円×36か月=108万円が返済原資の一例。ただし換価財産(不動産売却益など)があると減額基準が変わることがあります。
留意点:
- 住宅資金特例を使うと住宅以外の債務だけを圧縮する設計が可能。
- 換価財産が多いと弁済額が増える可能性あり。
(根拠:再生手続の減額ルール、裁判所の実務)
2-8. 書類の具体リストと提出時のポイント
主要提出書類(概略):
- 申立書一式(裁判所フォーマット)
- 債権者一覧と債務明細
- 年金の証明(年金裁定通知、振込通知書、年金定期便)
- 預金通帳や給与明細(該当する場合)
- 住民票、家計簿、公共料金の領収書
- 不動産登記簿謄本(登記事項証明書)や車検証など資産証明
提出時のポイント:
- 原本はコピーを取りつつ原本提示を求められる場合があるので保管しておく。
- 書類の年度が古いと再提出を求められることがあるので最新のものを用意。
(根拠:裁判所の書類要件、法テラスのチェックリスト)
2-9. 申立て後の流れと審判のポイント
申立て後の流れは概ね以下の通りです。
1. 書類受付・形式審査
2. 債権者への通知・債権届の整理
3. 再生計画案の提出と債権者集会(必要時)
4. 裁判所の認可決定(または不認可)
5. 認可後、計画に従った返済開始
ポイント:
- 債権者集会で反対が出ても、裁判所が合理的と判断すれば認可されることがある。
- 再生委員が選任される場合、追加資料の提出を求められることがある。
(根拠:裁判所の手続フロー)
2-10. 年金生活者が陥りがちな落とし穴と回避策
よくある落とし穴:
- 年金証明の不備で申立てが停滞する。
- 住宅ローンの扱いを誤り、住宅を手放すリスクが生じる。
- 医療・介護費を過小申告して返済負担が過大になる。
回避策:
- 年金関係書類は原本で揃えること。過去の支給実績も用意する。
- 住宅ローンがあるなら早めに弁護士に相談して住宅資金特例の可否を確認。
- 医療費や介護費は領収書を保管し、必要なら医師の診断書を添付する。
(私の経験:書類が揃っていれば裁判所も対応が早く、申立てから認可までの期間を短縮できることが多いです)
3. 実際のケーススタディとよくある質問 — 数値で考える、具体的対応策
ここでは典型的なケースを想定して、年金収入がある場合の個人再生のイメージを具体的な数字で示します。ケースごとに注意点と実務上の対応を示し、最後にFAQ形式でよくある質問に答えます。
3-1. ケースA:年金収入15万円/月、負債2,000万円
シナリオ:単身、年金収入15万円、負債2000万円(カード・消費者金融・リボ等)、住宅ローンなし。
考え方:
- 可処分:年金15万円 − 生活費12万円 = 3万円可処分(仮)
- 3万円×36か月=108万円が基礎弁済原資。換価財産がない場合、小規模個人再生の最低弁済基準による判定が必要。
- 結果の可能性:負債2000万円だと、最低弁済額の規程により認可されるかは事案次第。住宅がない分、換価財産が少なければ弁済比率が小さくなる可能性あり。
実務提案:
- 債務の内訳を精査して、利息削減・過払金の有無を確認。
- 弁護士とともに「現実的な返済計画」を作成。
3-2. ケースB:年金収入10万円/月、住宅ローンあり
シナリオ:夫婦(配偶者収入なし)、本人年金10万円/月、住宅ローン残債あり。
考え方:
- 住宅資金特例の検討が重要。住宅を残したい場合は住宅ローンを別途扱う設計が必要。
- 年金10万円では生活費圧迫が大きい。住宅ローンの支払負担との兼ね合いで再生計画の成立が難しい場合も。
実務提案:
- 住宅ローン特則を利用するならローン支払の継続を前提に再生計画を設計。
- 配偶者の収入や扶養の有無を含め家計再建プランを作る。
3-3. ケースC:遺族年金を主な収入とするケース
シナリオ:配偶者が亡くなり遺族年金を主要収入とする単身世帯。
考え方:
- 遺族年金は被扶養者の生活維持に重要な役割を持つため、可処分部分が少なく見積もられることが多い。
- 家族の生活維持責任がある場合、裁判所は返済能力を慎重に判断する。
実務提案:
- 遺族年金の性質(受給額、扶養範囲)を明確にする書類を準備。
- 医療費や子どもの教育費など特別費を詳細に提出。
3-4. ケースD:年金以外の収入あり、再生計画の工夫点
シナリオ:年金12万円/月+アルバイト収入5万円/月、負債1200万円。
考え方:
- 合算収入で返済能力を評価。アルバイトが継続的であれば返済原資は増える。
- ただしアルバイト収入は不安定な場合があるので、継続性の説明が必要。
実務提案:
- アルバイトの雇用証明・給与明細を用意。
- 変動収入を保守的に見積もり、年金部分を優先的に生活費として扱う。
3-5. ケースE:年齢が高くなった場合の実務影響
シナリオ:70歳前後で年金が主収入。債務は主にカード債務。
考え方:
- 高齢者は将来の収入増が見込めないため、返済プランで無理を強いると生活が破綻するリスクが高い。
- 裁判所は生活維持を優先する傾向があり、不可能な弁済計画は却下される。
実務提案:
- 医療費・介護費を十分に反映した計画を立てる。
- 場合によっては自己破産と併せて最適解を検討する。
3-6. 実務でよくある質問と回答例
Q1: 年金があると個人再生は断られる?
A1: 年金があるだけで断られることはありません。生活維持分を確保したうえで、現実的な弁済計画を作れば認可されることが多いです。
Q2: 遺族年金は差押えられる?
A2: 遺族年金も生活維持の観点で配慮されますが、差押えの可否は具体事情によります。個人再生申立て後は取り立てが停止されます。
Q3: 年金受給前に申立てするとどうなる?
A3: 受給見込み額(年金定期便など)を根拠に計画を立てます。将来の受給が確実であれば受給見込みでの評価が可能。
(根拠:裁判所・年金関連公的説明、実務家の運用)
3-7. ケース別の減額率と返済期間の目安
具体的な減額率は債務総額や換価財産、可処分収入で大きく変わりますが、目安は以下の通り(あくまで概算):
- 債務300万円以下:原則100%減額は難しいが、最低弁済基準に沿う。
- 債務300~500万円:一定の減額で収まる場合あり。
- 債務1,000万円以上:年金収入が低いと減額が大きくなる可能性があるが、総額による最低弁済額が影響する。
返済期間は原則3年、事情により5年まで延長可能。
(根拠:民事再生法の減額ルールと実務運用)
3-8. 申立てを選ばなかった場合のリスク比較
選ばなかった場合のリスク:
- 債権者の取り立て継続:精神的負担や差押えの継続。
- 財産の差押えや給与(年金以外)の差押え:生活が困窮する恐れ。
- 最終的に自己破産に至るケースもあり、時間と費用の増加。
(根拠:債務整理に関する一般的動向と実務経験)
3-9. 年金収入があるときの不認可ケースの見分け方
不認可になりやすいポイント:
- 再生計画が申立人の最低生活を考慮していない。
- 書類に重大な錯誤や不備がある。
- 換価可能な資産を隠していると疑われる場合。
予防策:
- 誠実に開示し、生活実態を裏付ける書類を揃える。
3-10. 申立て後の生活設計と再発防止のポイント
再生認可後も家計管理は重要です。生活費見直し、支出の優先順位付け、必要なら家計相談(市区町村の相談窓口)を活用しましょう。再発防止には収支計画の明示、緊急用の予備資金作り、金融リテラシーの向上が効果的です。
(私の感想:再生後に家計改善を続けられる人は再発が少ない。法的整理はリセットのチャンスだと捉えて、生活設計を一緒に見直すことが成功の鍵です)
4. 年金収入がある人が選ぶべき手続きの流れと専門家の活用 — 誰にいつ相談するか
手続きの流れを押さえて、専門家をいつ使うかを明確にしましょう。年金が絡むケースほど事前準備と専門家の活用が効果を発揮します。
4-1. 信頼できる相談先の選び方(法テラス・弁護士・司法書士の使い分け)
- 法テラス:無料法律相談や条件を満たせば費用立替の相談が可能。まずはここで相談するのが合理的。
- 弁護士:裁判所対応、再生計画作成、債権者交渉は弁護士が最適。複雑な年金絡みは弁護士推奨。
- 司法書士:手続書類作成や簡易な代理業務は対応可。ただし案件の複雑さ次第で弁護士が必要。
初回相談時に確認すること:
- これまでの個人再生の事例数・年金絡み経験
- 費用の内訳(着手金・報酬・実費)
- 見込みスケジュール
(根拠:法テラス、弁護士会の案内)
4-2. 年金収入を前提とした再生手続きの全体フロー
1. 事前相談(法テラス・弁護士)
2. 書類収集と債務整理の方針決定
3. 申立書類作成・裁判所へ申立て
4. 債権者への通知と再生計画案の提出
5. 審理・認可(再生委員の関与あり)
6. 認可後の返済実行・監督
4-3. 必要書類リストと提出のタイミング
(前述のリストを参照)提出は申立て時に揃えるのが原則。遅れると審理が長引きます。
4-4. 費用感と資金調達の現実(着手金・報酬・実費)
費用の目安(事務所により差あり):
- 弁護士費用:着手金数万円~数十万円、成功報酬は事務所・債務額で変動。
- 司法書士:弁護士より低廉だが業務範囲が限定。
- 裁判所費用・郵券等の実費:数千円~数万円程度。
法テラスの費用立替を利用できる場合は、自己負担を抑えられる可能性があります。
(私の経験:費用は事前交渉で明確にしておくと安心。追加実費の発生条件も確認しましょう)
4-5. 申立て後の審尋・裁判所手続きのポイント
審尋では家計や生活実態について詳しく聞かれることがあります。ここで年金収入や医療費の説明が不十分だと認可に影響することがあるため、準備をしっかり行って臨むこと。
4-6. 再生計画認可後の実務(返済開始・監督・報告の流れ)
認可後は計画に沿った返済を開始します。返済の遅延は認可取消しのリスクがあるため、銀行口座の自動引落設定などで確実に支払う仕組みを作ることが重要です。再生委員や弁護士に定期報告が求められる場合があります。
4-7. 年金生活者特有の注意点と生活再設計のコツ
- 高齢者は医療費や介護費の想定外支出があるため、余裕を持った計画を。
- 公的給付(介護保険、医療補助など)を最大限利用して生活費を確保。
- 家計は月次で見直し、急な支出に備えた貯蓄ルールを習慣化する。
4-8. 生活費の見直しと家計管理の実務ヒント
実務的には以下を推奨します:
- 不要サブスクリプション・保険の見直し。
- 公共支援の確認(高額療養費、医療減免制度など)。
- 家計簿アプリや市区町村の家計相談の活用。
4-9. 予防的な財産整理と長期計画の立て方
再生後の長期設計として、資産の過度な売却は避けつつも、不要資産は換価して予備費を作るのが安心。遺言や任意後見など高齢者特有の次善策も検討。
4-10. よくある壁と解決策(年金停止・減額の変更申立て等)
年金が停止・減額された場合は再生計画の変更を裁判所に申立てることが必要です。事実が変わったら速やかに専門家に相談して手続きをとり、生活維持を最優先に対応してください。
最終セクション: まとめ — 年金収入があっても個人再生は可能。準備と専門家活用が鍵
まとめると、年金収入があるからといって個人再生が不可能になるわけではありません。重要なのは「生活維持分を確保したうえで現実的な再生計画を作ること」。年金の種類と受給額、他の収入・換価財産、住宅ローンの有無がカギになります。申立て前の準備(年金証明、家計の裏付け、債務の整理)をしっかり行い、法テラスや経験豊富な弁護士に早めに相談することをおすすめします。
私の経験では、年金がある事案ほど書類整理と生活実態の丁寧な説明が評価され、認可に結びつきやすいです。不安な点は早めに専門家に相談して、不必要なリスクを避けてください。
よくある質問は本文のFAQをご確認ください。まずは手元の年金通知書と債務一覧を用意して、法テラスか信頼できる弁護士に相談するところから始めましょう。今の一歩が将来の安心につながります。
任意整理 デメリットを徹底解説 ? 借金減額の現実と費用・信用影響、選び方までやさしく解説
出典(最後に一度だけまとめて記載します):
1. 裁判所(民事再生・個人再生に関する公式ガイドラインおよび手続案内) — 裁判所ウェブサイト
2. 日本年金機構(年金の手続き・年金証明・差押えに関する公的説明) — 日本年金機構ウェブサイト
3. 法テラス(日本司法支援センター/法テラスの無料相談・費用立替に関する案内) — 法テラス公式サイト
4. 日本弁護士連合会・日本司法書士会連合会(弁護士・司法書士の業務範囲と相談案内)
5. 民事再生法の法令・解説(法令データ提供システム等、公的法律情報)
(注)本文中の制度運用や手続きの解釈については、裁判所や年金機関の最新の運用・ガイドラインに従って判断されます。具体的な手続きや可否判断は、個別事案により異なるため、必ず専門家(弁護士等)による個別相談を受けてください。