この記事を読むことで分かるメリットと結論
この記事を読むと、「個人再生」の全体像がつかめます。相談から裁判所への申立て、再生計画案の作成、債権者集会、免責(※正確には免責は破産手続の用語で、個人再生では再生計画の履行が中心)に至るまでの流れ、必要書類、費用の目安、住宅ローン特例の扱い、信用情報への影響まで一気に把握できます。特に「小規模個人再生」と「給与所得者等再生(通常の個人再生の一種)」の違いを明確にして、どちらが向いているか判断できるようにまとめました。実務的なチェックリストも用意しているので、すぐに行動に移せます。
1. 個人再生 流れの全体像 — 初めてでも迷わないステップ図解
個人再生は「民事再生法」に基づく債務整理の手続きで、裁判所を通して借金の一部を減額し、残りを原則3年(最長5年)で返済する計画を立てる制度です。ざっくり流れを並べると、相談 → 必要書類の準備 → 申立て(地方裁判所)→ 再生計画案の作成・提出 → 債権者への通知と場合によっては集会 → 裁判所の認可決定 → 再生計画に基づく弁済開始、という順番になります。
「小規模個人再生」と「給与所得者等再生(一般に個人再生と呼ばれる)」の2種類があり、選べる場合は債務者の事情で最適な方法が異なります。小規模は債権者の同意や集会が関係しやすく、給与所得者等再生は安定した収入がある人向けに手続きが簡略化されることがあります。
期間感は一般に申立てから裁判所の認可決定まで6〜12か月程度が多いとされますが、事案の複雑さや裁判所の負担、債権者の異議の有無で前後します。再生手続では「再生計画案」の内容が鍵で、これが裁判所に認められて初めてその計画に沿った返済が始まります。専門家(弁護士・司法書士)は、書類作成、債権者対応、裁判所への説明などで重要な役割を果たします。
見解(取材と公開情報を踏まえて):個人再生は「生活を再建しつつ住宅を手放さずに債務圧縮できる」強力な手段です。特に住宅ローンが残る場合の「住宅資金特例」は、手続き次第で自宅を守れる可能性があり、早めに専門家に相談するメリットが大きいと感じます。
1-1. 個人再生とはどんな制度かを一言で理解する
個人再生は「裁判所を利用して債務の一部を合法的に減らし、残りを継続的に返済するための法的手続き」です。破産と違い、資産(特に住宅)を維持しながら債務を整理できる点が大きな特徴です。元本が大幅に減るので、家計再建の選択肢として有効ですが、信用情報への登録などデメリットもあります。法的根拠は民事再生法にあり、裁判所の監督の下で手続きが進みます。
1-2. 大まかな流れの順序(相談 → 書類準備 → 申立て → 再生計画案 → 裁判所決定)
具体的な流れを要点だけまとめると次の通りです。
- 相談・事前整理:借入先・金額・収入・資産を整理。専門家と相談。
- 書類準備:収入証明(源泉徴収票等)、預金通帳の写し、債権者一覧、不動産登記簿謄本など。
- 申立て:管轄の地方裁判所へ申立書を提出。申立受理後、裁判所が手続を開始。
- 再生計画案作成:返済総額、期間、分割計画を具体化。住宅ローン特例の適用を検討。
- 債権者への通知・集会:債権者が反対するか否かを決めるプロセス。小規模の場合は同意が重要。
- 認可決定・執行:裁判所が再生計画を認可すれば計画に従って返済開始。認可後、計画通り支払えば手続は完了。
ここで「認可されるか否か」は、提出した計画の現実性や債務者の収入見込み、債権者の反対状況などで左右されます。計画案は現実的でなければならず、過度に無理な圧縮案は却下されることがあります。
1-3. 免責の意味と、実務上のポイント
正確な用語整理として、免責は破産手続で債務を免除する意思決定を指します。個人再生の場合は「免責決定」ではなく「再生計画の履行による債務整理」が主眼です。個人再生では、再生計画の認可がなされれば計画に含まれる債務は原則その計画に従って整理され、残余の債務については計画で定めたもの以外は消滅します(つまり、免責に準ずる効果を持ちます)。ただし、税金や罰金、一部の例外債権は別扱いになります。実務上のポイントは、隠し財産や虚偽の申告があると計画が認められない可能性がある点です。
1-4. 返済計画の基本的な考え方と期間
再生計画の基本は「現実に返済可能な額」を設定すること。原則の返済期間は3年(条文上は原則3年、特別な事情があれば5年まで延長可能)です。返済額は、最低弁済額(可処分所得の基準や最低配当額)に基づき算出されます。小規模個人再生では、債権者への配当に基づいて減額後の総額が決まる場合が多く、給与所得者等再生では可処分所得に応じた毎月の支払額が中心になります。計画作成では、生活費の見直しや家計再建の実行可能性を示すことが求められます。
1-5. 専門家が果たす役割と相談のタイミング
弁護士や司法書士は、主に書類作成、裁判所とのやり取り、債権者対応、再生計画案の作成・修正、面談準備を担います。早い段階で相談すると、取り立ての一時停止(受任通知により取り立てが止まる場合がある)や最適な手続選択の助言を受けられます。特に住宅ローン特例を利用する可能性があるなら、早めに専門家を交えることが重要です。
2. 事前準備と専門家相談 — 今すぐやるべきチェックリスト
個人再生は準備が命。まずは自分の債務と収入を正確に把握することが最優先です。以下に実務的なチェックリストを示します(これを基に専門家と相談するとスムーズです)。
- 借入先一覧(金融機関、消費者金融、カード会社、保証会社など)と残高、利率、契約日
- 保証人の有無(家族が保証人になっている場合は影響が出る)
- 収入証明:最新の源泉徴収票、確定申告書(自営業者・個人事業主は直近2年分推奨)、給与明細
- 預金通帳の写し(直近6か月〜1年分)
- 不動産登記簿謄本(持ち家や土地がある場合)、住宅ローンの契約書
- 車両の登録情報やローン契約書
- 家計の収支表(固定費・変動費を分けて整理)
- 各種契約書、領収証、保証契約書など債権者に関わる書類
- 保険契約・年金・社会保障に関する資料
ここでのコツは「漏れなく」「直近の証拠」を揃えること。裁判所は書類に基づいて事実を判断するため、不備があると手続きが遅れることがあります。まとめ:自分で集めるのが難しい場合、最初から専門家に依頼して代理で取得してもらう選択肢も検討してください(追加費用は発生しますが時間短縮になります)。
2-1. 自分の債務状況を整理するためのチェックリスト
上に挙げた書類のほか、債務ごとに「毎月の返済額」「利息部分」「延滞状況」「保証人・保証の有無」を一覧表にしておくと専門家との初回相談が格段に早くなります。Excelや紙で良いので「債権者名 / 残高 / 月額 / 担保/保証 / 備考」を作っておきましょう。
2-2. 法テラス・無料相談の活用方法
経済的に余裕がない場合、法テラス(日本司法支援センター)を通じた無料法律相談や弁護士費用の立替制度(要件あり)の利用が検討できます。最初は法テラスで状況確認し、必要なら弁護士を紹介してもらうと費用面での負担が軽くなる場合があります。利用条件や手続き詳細は法テラスに問い合わせて確認してください。
2-3. 弁護士 vs 司法書士の選び方と判断基準
個人再生は裁判所に対する法的な申立てであり、法律相談の深度や内容に応じて弁護士または司法書士が対応します。司法書士は簡易な事案や代理範囲が限定されることがあるため、債務総額が一定額以上(司法書士の代理権限に関する基準を超える場合)や、自宅を残したい等の複雑な交渉が必要なら弁護士を選ぶことが一般的です。弁護士は債権者との交渉力や裁判所対応の経験が豊富な場合が多いです。選ぶ際は、過去の業務実績、料金体系、無料相談の有無、実際に面談した時の説明のわかりやすさを基準にしてください。
2-4. 費用の目安と分割払いの options
弁護士・司法書士費用は事務所により幅がありますが、個人再生の着手金・成功報酬で合計数十万円〜が目安になることが多いです(ケースにより上下)。法テラスの費用立替制度や、事務所によっては分割払いに対応している場合もあるので、費用の相談は初回相談時に必ず確認しましょう。費用対効果を判断する際は、「弁護士費用 + 裁判所手数料」を合算して、再生後の家計改善と比較することをおすすめします。
2-5. 債権者情報・信用情報への影響を事前に把握する
個人再生を行うと、信用情報機関に一定期間記録が残ります(履歴の有無・期間は機関により異なります)。そのため、再生後のローン・クレジットカード利用は一定期間制限されることを前提に、生活設計を立てておきましょう。具体的には住宅ローンや自動車ローンの新規借入が難しくなる期間があり、信用回復には数年かかることが一般的です。
3. 申立の手順と裁判所の流れ — 提出〜審理までの具体スケジュール
実際の申立ての流れは裁判所ごとに多少の差がありますが、基本的な手順は共通しています。ここでは、どの裁判所に申立てるかの決め方から、必要書類、申立て後のスケジュールまで具体的に解説します。
3-1. 申立先の決定:管轄の裁判所の目安
申立先は、原則として債務者の住所地を管轄する地方裁判所になります。例えば、東京都内であれば東京地方裁判所(民事再生部)、大阪府内は大阪地方裁判所といった具合です。裁判所の民事再生担当部署は地域によって取り扱い方や案内資料が異なるため、事前に該当裁判所の窓口やウェブページで提出書類の要件や様式を確認すると安心です。
3-2. 必要書類の準備リスト(収入証明・資産状況・負債一覧など)
申立書に添付する代表的な書類は以下の通りです(裁判所や事案により追加を求められる場合があります)。
- 申立書(所定の書式)
- 債務者の身分証明(運転免許証等の写し)
- 収入証明:源泉徴収票、確定申告書、給与明細(直近数か月)
- 預金通帳コピー(直近6か月〜1年)
- 債務一覧表(債権者名、残高、月々の返済額等)
- 不動産登記事項証明書(登記簿謄本)
- 住宅ローン契約書・残高証明
- 車検証・自動車ローン明細(車所有の場合)
- 家計の収支状況表
- その他説明資料(治療中の病状など、特別事情がある場合)
書類は原本を提出するのではなく、裁判所が指定する形で写しを提出するのが通常です。必要な書類が揃っていないと申立てが受理されないケースもあるため、事前チェックは必須です。
3-3. 事前面談・計画案の作成のポイント
多くの裁判所では申立ての前後に書面審査に加えて面談(裁判所職員または監督委員との面談)を行うことがあります。面談では家計の実情や再生計画の妥当性を説明します。計画案は「いつまでに」「いくら返すか」「月々の支払額はいくらか」を明確にし、収入変動やボーナスの有無も考慮して現実的な数値を置くことが重要です。住宅ローン特例を利用する場合は、住宅ローンの契約内容や返済状況を丁寧に説明する必要があります。
3-4. 申立の提出手順と裁判所の受付プロセス
申立ては管轄裁判所へ申立書を提出します。受理されると裁判所は事件番号を振り、手続きが開始されます。裁判所は提出書類をチェックし、不備があれば補正を求めます。実務上は、申立て直後に監督委員が選任される場合や、債権者への意見聴取のための期間が設定される場合があります。
3-5. 裁判所からの通知・今後のスケジュール
申立て後は裁判所から「受理通知」「監督委員選任通知」「債権者への通知(意見書提出期間の設定)」などいくつかの通知が届きます。債権者から異議が出ると債権者集会が開かれることがあり、スケジュールが長引く原因になります。一般的には、申立てから計画認可まで6〜12か月を見込むことが多いですが、事案により上下します。
3-6. 免責決定までの流れと期間感
繰り返しになりますが、個人再生では破産の「免責決定」という処理ではなく、「再生計画の認可」と「計画の履行」が実務上の終了条件です。計画が認可されれば、計画に従った返済を行うことで手続きは終了します。計画が履行されれば、残余の債務は消滅します。期間は計画自体の返済期間(通常3年)が基準になります。
4. 小規模個人再生の流れと要件 — どんな人に向いているか
「小規模個人再生」は、債権者の同意によることが前提で、債権者の反対が少ない、あるいは柔軟な配当で債務圧縮を図れるケースで有効です。ここでは要件や特徴、住宅資金特例との関係を具体的に説明します。
4-1. 小規模個人再生の特徴と向いている人
小規模個人再生は、債権者に対して一定の配当(原則として債務の一部)を行うことで、他の債務を整理する方式です。債権者が多いが分配可能な原資がある場合や、事業債務が中心で債権者との話し合いが可能な場合に向いています。給与所得者等再生に比べて債権者の同意や集会が重要となるため、債権者との交渉力が必要です。
4-2. 要件(資産・債務・収入の基準)の解説
小規模個人再生でも、最低弁済基準や債務総額の上限(6000万円以下等、法令で定められた範囲)などの要件が存在します。具体的には、可処分所得や配当可能財産の算定が必要で、債権者への最低配当額を満たすことが求められます。不動産や車両がある場合はそれらの評価も計算に入ります。
4-3. 住宅資金特例の適用とその効果
住宅ローンが残る自宅を手放さずに債務整理を行いたい場合、「住宅資金特例」を利用して住宅ローン債権を再生計画から外し、他の債務だけを圧縮する方法があります。これにより、住宅ローンは従来通り支払いつつ、その他の借金を減額することで生活を維持できる可能性が高まります。適用には要件があり、住宅の担保やローンの状況、返済見込みなどを裁判所が検討します。
4-4. 書類作成・計画案の作成ポイント
小規模個人再生では債権者への配当額の算定が重要です。資産評価や可処分所得の計算をきちんと行い、債権者が納得・承認しやすい現実的な配当案を提示することがカギです。交渉の余地がある場合、債権者に対する丁寧な説明資料が効果を発揮します。
4-5. 監督委員の役割と申立後の手続き
裁判所は必要に応じて監督委員を選任します。監督委員は再生手続の進行を監視し、債務者の財産・収支の実態確認や再生計画案の妥当性を検討する役割を担います。監督委員の指摘によって計画案が修正されることもあるため、事前に計画の根拠を固めておくことが大切です。
4-6. 小規模と通常の違いを比較して理解する
小規模と給与所得者等再生の主な違いは、債権者の関与度合いと計算基準にあります。小規模は債権者の配当を基準にすることが多く、債権者集会や同意の取り扱いが重要です。給与所得者等再生は、安定収入を前提に可処分所得に基づいた返済計画が中心で、裁判所手続が比較的スムーズに進む場合が多いです。どちらが有利かは債務構成や収入の安定性によって変わるため、専門家と具体的に比較検討してください。
5. 再生計画案の作り方と免責のポイント — 数字で考える実務的手順
再生計画案は手続きの心臓部です。ここでは、返済総額の設定方法、減額の仕組み、住宅ローン特例の組み入れ方、免責(再生での清算)に関する注意点を具体的に解説します。
5-1. 返済総額をどう設定するかの基本
返済総額は、債務者の可処分所得、配当可能な資産、最低弁済基準(法令や判例に基づく基準)を踏まえて算出します。実務では「毎月の生活費を無理なく賄える額」に落とし込みつつ、債権者が受け入れられる配当幅を探る作業になります。A案・B案の複数案を用意して債権者や裁判所の反応を見る戦術もよく使われます。
5-2. 減額の仕組みと具体例
例えば借入総額が600万円だった場合、再生計画で支払総額が300万円に圧縮されることがあります(案件による)。この場合、返済期間を3年(36回)に設定すると毎月約83,000円の支払いとなります(利息の扱い・分配方法で変動)。こうした試算は実際の可処分所得をもとに行い、無理のない額に調整します。重要なのは「計画は実行可能」であることを数字で示す点です。
5-3. 住宅ローン特例の使い方と注意点
住宅資金特例を使うと、住宅ローン債権は再生計画の対象から外し、他の債務のみを再生計画で減額することが可能です。注意点としては、住宅ローン自体は継続して支払う必要があり、ローンに遅れがないこと、担保設定の有無、将来的な売却や住み替えの制約などがある点です。特例適用の可否は裁判所の判断によるため、住宅ローンの詳細書類を揃え、支払見込みの裏付けを用意することが肝心です。
5-4. 免責の要件と避けるべき落とし穴
個人再生では、再生計画が認可され計画通りに返済されれば、計画で定められた範囲を超える債務は消滅します。ただし、虚偽の申告、財産隠匿、計画の履行不能を招く行為があると認可が下りない、あるいは取消しとなるリスクがあります。また、税金や罰金、一部の債権(損害賠償など)は再生の対象外となる場合があるため、事前に確認が必要です。
5-5. 再生計画案の提出時のポイントと審理の流れ
提出時には、根拠となる収入計算、資産評価、生活費算定根拠を明確にすることが重要です。裁判所はこれらを基に計画の可否を判断します。審理では監督委員や債権者からの質問が出されることがあり、回答準備をしておくとスムーズです。計画案の採否が決定すると、認可決定が出てその後は計画に従って支払います。
5-6. 計画案が通らなかった場合の代替案
計画案が認可されない場合、代替として再提案(計画案の修正)や破産手続への移行、私的整理(債権者と個別に交渉して和解)などがあります。破産は免責による債務免除が特徴ですが、住所不動産の処分や職業制限、信用情報への影響が強く出ます。どの選択が最善かは、資産状況や将来設計を踏まえて専門家と検討してください。
6. よくある質問と注意点 — 申立後の生活はどう変わる?
ここでは読者が真っ先に気にする「日常生活」「収入変動」「家族への影響」など、実務でよく出る疑問に答えます。
6-1. 申立後は仕事や生活はどう変わるのか
申立てによって直ちに職業制限がかかるわけではありません。ただし、信用情報に記録が残るため、職業上ローン審査や信用調査が絡む場面では影響が出る可能性があります。また、計画に沿った返済が必要になるため、家計の見直しが必須です。給与の差押えなどは、裁判所の手続きや受任通知により一時的に止まることがありますが、詳細はケースバイケースです。
6-2. 収入の変動にどう対応すべきか
収入が減少した場合、再生計画の見直しや途中での変更申請が必要になることがあります。重大な収入変動は早めに専門家に相談し、裁判所や監督委員へ報告するのが原則です。無断で支払を止めると計画の履行違反となり、最悪の場合計画の取り消しや手続きの不利益につながります。
6-3. 借入の新規発生と信用情報の影響
再生手続中や認可後の一定期間は、クレジットカードやローンの新規契約が難しくなります。信用情報機関(CIC、JICC、KSCなど)には手続き情報が記録され、通常数年は回復までに時間がかかります。大きな負担となるため、再生後もしばらくは現金主義で生活する計画を立てるのが無難です。
6-4. 配偶者・家族への影響と配慮点
個人再生は原則として債務者本人の手続きですが、保証人がいる借入がある場合、保証人に対して請求がいく可能性があります。配偶者が連帯保証人や共同名義で債務がある場合は、家族への影響を事前に説明し、必要であれば専門家と対策を検討してください。家族名義のローンや預貯金への影響もあるため、共有財産の扱いについては注意深く整理しましょう。
6-5. 実務上の失敗例と対処法
よくある失敗は「書類の不備」「虚偽の記載」「重要な債権の見落とし」です。これらは申立ての遅れや計画不認可の原因になります。対応策は、最初に詳細な債務一覧を作ること、専門家レビューを受けること、そして裁判所の指示があれば速やかに対応することです。事例によっては、私的整理で一定の合意を得た方が迅速な解決になる場合もあります。
7. ケーススタディと実例 — 典型的な5つのケースを具体的に解説
ここでは典型的な事例を挙げて、どの手続きが有利か、必要書類や想定される結果を具体的に示します。数字は一般的な例示であり、実際は個別事情で変動します。
7-1. 住宅ローンありの30代会社員のケース
ケース:借入総額3,500万円(住宅ローン2,800万円、カード・消費者金融合計700万円)、手取り月収35万円、家族3人。
対応の方向性:住宅資金特例を検討し、住宅ローンは現状維持、その他の700万円を個人再生で圧縮する案を作成。再生計画で返済総額を300万円程度に圧縮し、月額返済を約8万円に設定(3年計画)すると家計に無理が出ないかを検証する。注意点は住宅ローンの滞納がないこと、住宅の担保関係を明確にすること。
7-2. 自営業・フリーランスのケース
ケース:収入が年によって変動(直近2年で大幅減収)、借入総額1500万円。
対応の方向性:可処分所得の変動が大きいため、収入の見込み根拠を整える必要がある。小規模個人再生または給与所得者等再生の選択を検討。確定申告書等で収入の推移を証明し、計画の実現可能性を示すことが重要。
7-3. 学生ローン・クレジット系債務のケース
ケース:若年層でクレジット・カード等の債務が中心、借入総額300万円。
対応の方向性:将来的な収入の見込みが高い場合は給与所得者等再生が向くこともある。債務総額が少額で破産より有利な点がある場合、私的整理や任意整理と比較してどれが最善かを検討する。
7-4. 配偶者の保証人となっているケース
ケース:配偶者が主債務者で、こちらが保証人になっている状況。自分も債務整理を考える場合は、保証債務の扱いが重要。個人再生で主債務が圧縮されると、保証人への請求関係も変化するため、保証人との合意や債権者との協議が必要です。
7-5. マンション所有と再生計画のケース
ケース:都心のマンションを所有(ローンあり)、借入総額と資産価値のバランスが微妙。
対応の方向性:不動産を残すか売却するかで再生計画が大きく変わる。住宅資金特例が使えるか、または不動産処分で債務圧縮を図るか、複数シナリオを作って比較検討するのが現実的。監督委員による資産評価が審理で重要な役割を果たすことが多い。
8. 事後のフォローと信用情報への影響 — 再建後の生活設計
債務整理は終わりではなく再出発。手続き後の信用回復と資金計画が長期的に重要です。
8-1. 債務整理後の信用情報機関への記録の扱い
個人再生の情報は各信用情報機関(CIC、JICC、全国銀行協会の情報機関等)に記録されます。記録の残る期間は機関や契約形態で異なりますが、一般的には数年単位で残ることが多いです。これにより、クレジットカードの審査やローンの新規契約に影響が出ます。
8-2. 影響期間とその後の回復の目安
信用情報の回復には通常数年を要します。期間経過後は、定期的な小さな信用取引(家賃支払い、公共料金のクレジットカード払いを清算する等)を積み重ねることで徐々に信用を回復することが可能です。ローン審査で再び通るまでの期間はローン種類や金融機関の基準によって差があります。
8-3. 返済再開のタイミングと注意点
再生計画の認可後は、決められた期日から返済が始まります。遅延や滞納が生じると計画の履行違反となり、最悪の場合計画が取り消されることがあります。返済が厳しくなった場合は早めに専門家に相談し、裁判所・監督委員へ報告して再設定の可否を検討してもらうことが必要です。
8-4. 住宅ローンを再開するための要件
再生後に新たに住宅ローンを組む場合、信用情報の回復状況、安定した収入、頭金の有無、不動産評価などが重要になります。再生後しばらくは銀行ローンが厳しいため、地銀や信用金庫の審査基準や住宅ローンの特別枠を調べるなど複数の選択肢を検討するのが現実的です。
8-5. 再度借入を検討する際のリスク管理
再生を経験した後は、同じ過ちを繰り返さないために家計管理の見直し、緊急予備金の確保、クレジットカード利用の制限、収支の可視化ツールを用いた生活設計を行うことが重要です。家族との役割分担や、将来の大きな出費(車、教育費、住宅リフォーム等)に備えた長期計画を立てましょう。
最終セクション: まとめ — 今すぐやることリスト
個人再生は「生活を立て直すための強力な手段」ですが、手続きは書類準備と現実的な再生計画の提示がキーです。まずは次のアクションを実行してください。
- 今すぐ:借入先一覧と直近の預金通帳、源泉徴収票(または確定申告書)を揃える。
- 次に:法テラスや信頼できる弁護士事務所で初回相談を予約する(可能なら無料相談を活用)。
- 並行して:家計の見直し表(収入・支出)を作る。住宅を残したい場合は住宅ローン契約書を用意。
- 相談時に聞くべき質問リスト:想定される費用、期間、住宅資金特例の適用可否、信用情報の影響期間。
- 最後に:複数の専門家に相談して比較検討。料金や対応のわかりやすさ、実績で判断。
所感:情報を集めてすぐに行動する人ほど、選択肢を増やせます。迷って時間が過ぎると取り得る手段が狭まることがあるので、まずは相談だけでもしてみてください。あなたの状況に合った最適な手続きがきっと見つかります。
出典(この記事で参照した主な公的・専門情報源):
- 民事再生法(e-Gov(法令データ提供システム))
- 裁判所:民事再生手続に関する案内(各地方裁判所の民事再生部の案内)
- 法テラス(日本司法支援センター):債務整理・個人再生の解説
- 日本弁護士連合会・各都道府県弁護士会の借金問題解説ページ
- 信用情報機関(CIC、JICC、全国銀行協会系の情報機関)のガイドライン(信用情報の記録期間等)
- 各法律事務所・法律相談センターの個人再生に関する解説(手続期間・費用等の実務的目安)
(注)本文中の数値例や目安は一般的な実務情報を基にしたモデルケースです。個別事情によって大きく変わるため、実際の行動は専門家との面談で確認してください。