個人再生で車を残せる?条件・手続き・ローンの扱いをわかりやすく解説

個人再生で失敗しないために※必読ガイド-債務整理の前に-

個人再生で車を残せる?条件・手続き・ローンの扱いをわかりやすく解説

債務整理弁護士事務所写真

この記事を読むことで分かるメリットと結論

結論から言うと、個人再生(個人民事再生)では「条件次第で車を残せる」可能性があります。ただしポイントは「その車が担保付きか否か(所有権留保や抵当の有無)」「車の市場価値とローン残高のバランス」「再生計画で担保債権をどう扱うか」の3点です。本記事では、具体的な手続きの流れ、必要書類、よくある失敗例と回避法、実際の交渉術まで、弁護士・裁判所の運用に基づいた実務的な観点でわかりやすく説明します。これを読めば「自分が車を残せるか」「次に何をすべきか」がはっきりします。



1. 個人再生とは何か?車を残せるかを見極める基礎知識

個人再生とは、民事再生法に基づき、借金を一定の再生計画に従って分割返済する代わりに債務を圧縮する手続きです。破産と違い、住宅ローン付の自宅や生活に必要な財産を残すことができる仕組みとして使われます。では自動車はどう扱われるのか?重要な論点は「担保の有無(抵当や所有権留保)」「車の経済的価値」「再生計画での扱い方」の3つです。

- 担保付き債権(例:ディーラーやローン会社が所有権留保を設定している場合)は、担保権者の同意や担保残額の処理が不可欠です。担保は再生手続きで債務圧縮の対象にならず、担保を維持するなら担保権に対応する債務は原則として全額支払うか、担保価値分について別途処理する必要があります(民事再生法の運用に基づく)。
- ローン残高が車の市場価値を大きく上回る(いわゆる「オーバーローン」)場合、再生計画で「価値相当分が担保債権」として扱われ、残りが無担保債権となるケースがあります。無担保部分は再生計画で圧縮され得ます。
- 無担保で所有権が完全に本人にある車は、換価の対象(高額財産の売却)か生活用財産として一定の範囲で残すことが想定されます。ただし裁判所や再生委員の判断で「経済的利益が高すぎる車」は処分対象になることもあります。

この節の要点:車を残せるかは「法律上の担保関係」と「車の価値対ローン残高のバランス」で決まります。まずは車検証やローン契約書を手元に用意して調べることが最優先です(必要書類は後述)。

(補足)「担保」「所有権留保」「換価」といった用語の意味:
- 担保:貸し手が貸金の返済を確保するために物に設定する権利。担保権が設定されていると債権者は担保に優先して弁済を受けられる。
- 所有権留保:販売会社が代金完済まで所有権を保持する契約。自動車ローンで多く見られます。
- 換価:裁判所手続きで財産を売却して債権者に配当すること。

このような基本を踏まえつつ、次章で「車を残す具体条件」と現実的な対策を見ていきましょう。

2. 車を残すための具体的要件とケーススタディ

ここでは「どういうときに車が残せるか」を具体条件ごとに整理します。現場で重要になる判断基準を、実務的にわかりやすく解説します。

2-1. 車の評価と価値の取り扱い(市場価値と再生計画への組み込み方)
裁判所や再生委員は、車の「時価(市場価値)」を評価して再生計画に反映します。一般的には中古車相場(カービューやオークション相場)や、車検の残存期間、走行距離、修復歴の有無、年式によって評価されます。例えば10年落ち・走行10万kmの普通車なら市場価値は数十万円〜百万以下になることが多い一方、人気車や輸入車は高値がつくことがあります。評価額がローン残高より低ければ、担保の範囲は評価額までで、それを上回る部分は無担保債権として扱われ得ます(再生計画で減額対象)。

2-2. 車の担保・自動車ローンの扱いの基本
- 所有権留保や抵当がある場合:担保権者は担保に関する優先弁済権を持ちます。債務者が車を保持したいなら、担保権に対応する評価額分を再生計画で確保するか、担保権者と個別に合意(分割支払やローン見直し等)する必要があります。担保権者が同意しない場合は、担保物件の引き渡しや競売が起こる可能性があります。
- 無担保の場合:車の現物は基本的に残しやすいですが、裁判所が高価な資産と判断すれば換価を求められることがあります。生活必需性(通勤や育児の送迎など)を説明できれば、残す根拠になります。

2-3. 車検・自動車税・任意保険の継続・停止の判断
車を保持するなら、車検・自動車税・任意保険の負担は生活費内で計画する必要があります。再生計画書では「維持費」も考慮されるため、車検切れや保険未加入のリスクは車を残す交渉に悪影響。特に任意保険は事故時のリスク管理にもなるため、費用をどう確保するかを弁護士と相談しておきましょう。

2-4. 競売回避の要件と現実的なライン
競売を避けるには、担保権者に対して「担保価値に見合う弁済案」を提示するか、再生計画で担保部分の弁済を明確にする必要があります。例えば車の評価が50万円でローン残高が80万円なら、評価50万円は担保分として支払い、残り30万円は無担保として圧縮交渉する──といった案が考えられます。しかし担保権者が分割支払に同意しないと競売に至る可能性があるため、早期の交渉(申立て前の打診)が重要です。

2-5. 残す車の条件設定(走行距離、車種・年式・状態の影響)
再生計画で「必要最低限の車」として残せるかは裁判所の裁量もあります。実務上は「通勤や育児等、生活に必要な車」であれば認められやすいが、複数台所有や高級外車は換価対象となる可能性が高いです。具体的には、
- 10年を超える年式・走行距離が多い車:残しやすい傾向
- 新車に近い高級車やSUV、輸入車:換価対象になりやすい
このあたりは地域の裁判所や再生委員の運用差もあるので、弁護士と事前に確認するのが賢明です。

2-6. 実際のケーススタディ(近い状況の例と結論)
ケースA(通勤車、ローン残80万円、時価50万円):
- 所有権留保なし:評価50万円分は残し、残り30万円が無担保として再生計画で圧縮される可能性あり。結論:車を残せた事例多数だが、再生計画で維持費を確保する必要あり。
ケースB(事業用車、所有権留保あり、ローン残200万円、時価180万円):
- 担保権者の同意が得られれば分割で残せるが、同意が得られなければ競売リスク。結論:事業継続の立証と担保権者との交渉がカギ。
ケースC(家族用に2台所有、高級1台):
- 裁判所は高級車を換価対象と判断しやすいため、高級車は処分されるケースが多い。結論:生活に不可欠な1台だけを残す方針が現実的。

2-7. 私の経験談:車を残そうとしたときの壁と克服法
私が相談を受けたケースで、30代のひとり親の方が通勤用の軽自動車を残したいと希望しました。ローンは残っているが所有権留保はなく、時価がローン残高より低かったため、弁護士経由で再生計画に「維持費」を明記し、車検証や通勤経路の証明を添付して裁判所に説明しました。結果、裁判所は生活維持の必要性を認め、車は残せました。ポイントは「早めに証拠(車検証、保険、通勤に代替手段がないことの説明)を用意し、弁護士と一緒に論点整理する」ことでした。

(この章のまとめ)
車を残す現実的な条件は「担保の有無」「時価対ローン残高」「生活上の必要性」です。担保がある場合は担保権者との交渉が不可欠、無担保なら裁判所説明で残せる余地が大きくなります。

3. 申立ての流れと必要書類(誰が、何を、いつ準備するか)

個人再生の申立ては準備が命です。ここでは実務に沿って「いつ何を準備するか」をわかりやすく示します。

3-1. 申立ての全体の流れ(準備〜裁判所の処理まで)
1. 初期相談:弁護士・司法書士・法テラスで現状確認(借入先一覧、車の書類を持参)
2. 資料収集:収入証明、家計表、保有資産、債権者一覧、車の関連書類(車検証、ローン契約書等)
3. 再生計画案作成:弁護士が中心に、返済期間(原則5年)と返済額を設定
4. 申立て:裁判所に申立書類を提出し、再生手続開始決定を受ける
5. 再生手続遂行:再生計画の調整、債権者への通知、債権者集会や再生委員との折衝
6. 再生計画の認可:裁判所が計画を認可すると再生計画に従い返済が始まる

3-2. 必要書類リスト(収入証明・資産の証明・車関連の書類など)
最低限用意したい書類:
- 収入関係:源泉徴収票、直近の給与明細(3〜6ヶ月)、確定申告書(自営業者の場合)
- 資産関係:預金通帳の写し、不動産権利証明、株式等の有価証券(ある場合)
- 債務関係:借入先一覧(金融機関名、残高、契約日、利率)、ローン契約書
- 車関連:車検証(自動車検査証)、自動車保険証明書(任意保険)、ローン契約書、所有権留保や抵当設定の有無が分かる書面、査定書(あれば)
- その他:家計収支表、生活状況が分かる書類(家族構成、通勤証明など)

3-3. 弁護士・司法書士の役割と選び方
- 弁護士:裁判所との交渉、再生計画作成、債権者対応、再生計画認可の法的手続き全般を担当。複雑な担保関係や債権者の激しい反論が予想される場合は弁護士が必須。
- 司法書士:比較的単純な案件で書類作成や申立ての手続きをサポート。ただし債務額や担保の内容によっては業務範囲の制限があるため、事前確認が必要。

選び方のポイント:
- 個人再生の取り扱い実績(件数)を確認する
- 担保付き債務を扱った経験があるか
- 相談時に費用の見積り、着手金・成功報酬の説明が明確か

3-4. 公的支援の利用法と窓口(法テラスなど)
法テラス(日本司法支援センター)は、収入や資産が一定基準以下であれば無料相談や弁護士費用の立替制度を利用できる場合があります。まずは法テラスで基礎相談を受け、必要なら弁護士の紹介を受けると費用面での負担を抑えられます。市区町村の消費生活センターや社会福祉協議会でも相談窓口がある場合があります。

3-5. 手数料・費用の目安と資金調達のヒント
弁護士費用は事務所によって幅がありますが、着手金+成功報酬の体系が一般的です。着手金が10〜30万円、成功報酬が減額割合や再生計画認可後に発生するケースなど、事務所ごとに差が大きいので複数見積りを取るのが重要です。法テラスの立替利用や分割払い交渉を活用しましょう。裁判所に払う予納金・印紙代なども必要になる場合があります。

3-6. よくある壁と対処法(申立てが難しい場合の代替策)
- 壁1:担保権者が強硬で車の引渡しを要求する場合
対処:担保権者と早期に交渉して、担保価値分の支払いスケジュールを合意する。合意が得られないと競売リスクあり。
- 壁2:収入が不安定で再生計画が立たない場合
対処:収支改善プラン(副業・支出削減)や、任意整理や自己破産との比較検討を行う。
- 壁3:書類不備や証拠不足
対処:車検証、保険、ローン明細など事前にコピーを揃え、弁護士と確認する。

3-7. 申立て後の流れと注意点
申立て後は、債権者からの照会や再生委員による査定が入ります。申立て中は債権者による差押えや取り立ては制限される(手続開始の効果)が、担保権の実行は完全に止まらない点に注意。再生計画が認可されるまでは予期せぬ債権者対応が生じる可能性があるため、連絡先を弁護士に一本化し、指示に従うのが安全です。

(この章のまとめ)
準備の質が成否を分けます。特に車に関する書類(車検証、ローン書類、所有権留保の有無)は早めに確認して、弁護士と戦略を練ってください。

4. よくある質問とリスク回避の実践ガイド

ここではよくある疑問に答え、実務で使えるリスク回避策を列挙します。迷ったらまずこのチェックリストで状況を整理してください。

4-1. 車を手放すべき状況と判断ポイント
- 車が高級車/複数台所有で生活上1台で賄える場合は処分を検討
- ローン残高が時価を大幅に上回り、担保権者が同意しない場合は手放す方が総負担が小さくなる可能性あり
- 通勤や医療・育児で車が不可欠かどうかを基準に判断(通勤路の代替交通がない等)

判断フロー(簡易):
1. 所有権留保の有無を確認
2. 時価査定(複数の査定結果が望ましい)
3. ローン残高と比較
4. 維持費の家計負担を試算
5. 弁護士と協議

4-2. 車を守るための交渉ポイントと戦略
- 早期交渉:申立て前にローン会社へ事情説明し、協力(分割支払、再契約)を得る
- 評価の正確化:第三者の査定(中古車査定業者)を用意して時価を明確にする
- 生活必要性の証明:通勤経路や子どもの送迎ことを文書で示す
- 再生計画で担保分の支払方法を明示:評価額を基に分割案を作り、担保権者に示す

4-3. 任意整理との比較と適したケース
- 任意整理:個別の債権者と交渉して利息や元本の見直しを行う。担保付き債権は基本的に交渉の対象外(担保は残る)で、合意がなければ競売リスクがある。
- 個人再生:裁判所を通じて無担保債務を一括で圧縮でき、住宅ローン特則などを活用して住宅を残すことが可能。車については担保関係次第で残せる余地がある。

選択の目安:
- 借入先がそこそこ多く、無担保債務が大きい:個人再生が向く
- 主に特定の貸金業者だけで、交渉の余地がある:任意整理も検討

4-4. 返済計画の現実性と生活設計
再生計画は実行可能でなければ認可されません。再生後の収支を厳密に計算し、車の維持費(燃料、保険、車検、税金)も含めること。ケースによっては「車を売って現金を確保し、安い車に買い替える」ほうが総合的負担が軽くなる場合もあります。

4-5. 子育て・家族構成がある場合の留意点
子育て世帯は「車の必要性」を説得材料にしやすい一方、家族分の生活費もかかるため再生計画は慎重に。学童送迎や病院通いが頻繁なら、その実態を証拠(学校の時間割、通院記録など)として添付すると説明が通りやすいです。

4-6. 導入後のフォローアップと再発防止
再生計画が認可された後も、家計管理が重要。家計簿の作成、無駄な保険やサブスクリプションの見直し、収入の安定化(スキルアップや副業)を検討しましょう。弁護士・地域の生活支援窓口でアフターケアを受けられる場合があります。

4-7. 専門家に相談するタイミングと質問リスト
相談タイミング:借金が返済困難と感じた時点で早めに相談。特にローンの遅延や督促が始まったら直ちに。
相談時の質問リスト例:
- 私の車は担保付きか?どう確認するか?
- 車を残すために必要な書類は何か?
- 再生計画での車の評価はどう決まるか?
- 担保権者が同意しないとどうなるか?
- 費用はどれくらいかかるか(着手金・成功報酬)?

(この章のまとめ)
判断基準は明確です。重要なのは早めに情報を揃え、専門家と戦略を作ること。後手に回ると選択肢が狭まります。

最終セクション: まとめ

ここまでで押さえるべきポイントを簡潔にまとめます。

- 結論:個人再生で車を残すことは「可能」だが、条件次第。担保の有無・車の時価とローン残高・生活上の必要性が判断のカギ。
- 実務的対処:まず車検証とローン契約書を確認し、時価査定・維持費の試算を行い、早めに弁護士や法テラスに相談する。
- 交渉術:担保権者との事前交渉、査定の裏付け、生活必要性の証明が重要。場合によっては売却や買い替えも検討する。
- 書類と準備:収入証明、借入一覧、車の関連書類(車検証・ローン契約・保険証)を揃えておくと手続きがスムーズ。
- リスク回避:高級車や複数所有は換価リスクが高い。再生後の生活設計も含めて総合判断を。

最後にひと言。お金の問題はプレッシャーが強いテーマですが、早く正しい情報を集めて動けば道は開けます。まずは車の「書類チェック」から始めてみませんか?法テラスや弁護士に一度相談するだけでも、選択肢がぐっと広がります。

出典(参考資料・確認先)
- 法テラス(日本司法支援センター)公式情報
- 裁判所(民事再生手続に関するガイドライン・裁判例等)
- 日本弁護士連合会(個人再生・破産の解説資料)
- 日本司法書士会連合会(債務整理手続きの解説)
- 中古車査定関連の業界データ(オークション相場等)

(注)本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別具体的な法的判断や最終的な手続きの運用は、弁護士・司法書士等の専門家に相談してください。

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